◆ 今年は夏から秋にかけて高温の予報!りんご、ぶどうとも着色の遅延、収穫期の前進化が想定されますので、収穫時期を見極め、適期に作業を行いましょう。
◆ りんごの果実肥大はほぼ平年並ですが、県内各地でサビ果、奇形果がみられます。良質果を残すため、引き続き見直し摘果を進めてください。
◆ ぶどうは品質向上のため、適切な着果管理を!

りんご


1 生育状況
定点観測結果(表1)による果実肥大(横径)状況を県平均でみると、いずれの品種もほぼ平年並となっています。ただし、開花時の強風の影響と思われる果形不良や、落花期以降の降雨等の影響と推察されるサビ果の発生も見られるため、見直し摘果の際は果実を吟味し、できるだけ良質な果実を残すようにしましょう。



2 管理作業
(1)摘果の見直し、誘引、徒長枝の整理について
仕上げ摘果がほぼ終了し、これから見直し摘果になります。着果の多い部分や病虫害果、傷果などを摘果して行きます。「ふじ」では、生育不良果、つる割れ果が見えてきますので、随時摘果します。
樹体管理では、枝の誘引、徒長枝の間引きなどを行い、樹冠内部の日光や薬剤のとおりを良くします。また、台風などに備えて、支柱との結束の確認、園地の排水対策を行いましょう。

(2)早生種の着色管理
ア 早生種の葉摘み開始時期は、収穫予定の10~20日前です。
イ 果そう葉を中心に、最初は軽く2~3枚程度摘みます。
ウ 陽光面の着色が進んだら、葉や枝カゲをつくらないように玉回しを行うとともに、適当な強さに葉を摘みます。必要以上の葉摘みは、逆に着色が進まないので避けます。
エ 着色適温は10~20℃です。残暑で最低気温が20℃を超える日が続く場合は、いくら葉を摘んでも着色が進み難くなりますので注意してください。
オ 「紅ロマン」の着色管理は、1回目はお盆前に密着した葉を摘み、それから数日後、玉回しを行います。着色は容易なため、最小限の葉摘みを心掛け、早すぎる葉摘み、強すぎる葉摘みは、糖度が上がらない原因となり、また日焼けの原因にもなるため避けてください。

(3)落果防止剤の散布
収穫前落果しやすい「つがる」や「きおう」には、落果防止剤を上手に使用して落果を抑えましょう。使用の際は、必ず登録内容を確認してください。特に「きおう」の内部裂果で早めに熟す果実の取り扱いは、農薬の使用基準に違反しないよう厳重に注意してください。

(4)早生種の収穫(表2参照)
ア 今年は夏から秋にかけて高温予報となっており、早生品種の着色が遅延する可能性があります。果実品質の低下を防ぐため、過度に着色を期待せず、特にも硬度重視の収穫が重要です。
イ すぐりもぎが基本です。特に熟期が不揃いな「つがる」や「きおう」は徹底しましょう。
ウ 「紅ロマン」は、着色が先行するため、食味を確かめ、香りや果汁が十分に出てから収穫してください。地色はいくらか青みが残る程度を目安とし、果肉が白いうちに収穫します。また、果実品質を保持するため、収穫期に高温が続く場合は、果実温度が低い朝に収穫し、できるだけ早く出荷(予冷)してください。
エ 「きおう」は、ツル浮き(内部裂果)が発生しやすく、裂果したものは正常果よりも早く熟しますので、特に収穫前半はツル浮き果が混入しないよう注意してください。8月に入って降水量が多いとツル浮きが発生しやすいので、特に注意が必要です。
オ 「つがる」は、収穫後の果肉の軟化が早く、収穫が遅れると果面に油上がりが発生しやすいので、地色に注意して遅取りを避け、収穫後はできるだけ早めに予冷しましょう。
カ 落果防止剤にストッポール液剤を散布した場合は、散布日から8日以上空けて収穫します。



(5)「紅いわて」の収穫前管理
「紅いわて」は着色の非常に良好な品種であるため、軽い葉摘み作業でも十分に着色します。陽光面が着色した時点で果面に付着している葉を取り除き、枝かげをつくらないよう軽く玉まわしを行いましょう。「紅いわて」はつるが短い傾向にあるため、玉まわし作業は慎重に実施しましょう。

(6)夏季せん定(わい性樹)
ア 樹勢の強い樹を対象に、8月下旬~9月上旬にかけて行います。
イ 側枝の上面から発生している30cm以上の直上枝を間引くほか、30cm以下の新梢でも枝量と混み具合をみて日光、薬剤が通る程度に適宜間引きます。
ウ なお、過大な夏季せん定は樹勢を弱めるため、紋羽病の発病誘因となることがありますので、発病の恐れのあるところでの夏季せん定は最小限にとどめてください。

(7)日焼け果発生軽減対策
近年、早生種の収穫前に気温が高く推移したことにより日焼け果が発生しています。根本的な対策は難しいですが、日焼け果発生を軽減するため、着色管理の際、摘葉は最小にとどめ、日が当たる部位の葉摘みを一度に強く行なわず、樹冠外周部の葉摘みは控えましょう。そして、葉摘みや玉回しは午後から夕方にかけて行うことで、日焼け果の発生を軽減できるが、玉回しの角度が大きいと日焼けを生じやすいので注意します。なお、過度な徒長枝の整理、特に南西方向の樹冠外部の切除量を加減することも重要です。

3 病害虫防除
不安定な天候が続いています。斑点落葉病、褐斑病、すす点・斑病、果実腐敗性病害(輪紋病、炭そ病等)等を防ぐため、散布間隔が空きすぎないようにし、虫害では、ハダニ類・カメムシ等の発生に注意しましょう。
また、早生品種の収穫が近づいています。8月の薬剤散布は、農薬の使用基準(特に収穫前日数)をよく確認して、間違いのないよう注意しましょう。除草剤についても同様です。

ぶどう


1 生育状況(表3)
定点観測地点(紫波町赤沢)における「キャンベルアーリー」の調査結果によると、開花期(6月中旬)の低温の影響からか、結実率は平年よりやや低く、房長・果径ともに平年より小さめとなっていますが、作柄として概ね平年作は確保できる見込みです。
適度に降雨もあるため新梢生育は概ね順調ですが、梅雨明け後の高温や土壌水分不足による、果実の日焼けや縮果、葉焼けなどの発生に注意しましょう。



2 管理の要点
(1)摘粒の見直し
果房の形を整え、品質を向上するため、着粒の多い密着房、裂果粒、病虫害果粒を中心に摘粒を実施します。1房当たり粒数の目安は、「キャンベルアーリー」、「ナイアガラ」が70粒程度、「サニールージュ」が50粒程度、「シャインマスカット」が40~50粒、「紅伊豆」が30~40粒、「安芸クイーン」が25~30粒となりますので、見直しを行いましょう。

(2)摘 房
果実の糖度や着色など品質を向上し、樹体の養分の消耗を防ぎ、翌年の花芽の充実を良くするため、適正着房数を目標に摘房を実施します(表4参照)。
「キャンベルアーリー」で、樹勢が弱い場合は、1房当たりに必要な葉数(概ね15~24枚で1房、25枚以上で2房)に応じて着房数を制限して下さい。
「紅伊豆」などの大粒種で、樹勢をコントロールする目的で1新梢2房としている場合でも、着色や糖度の上昇の遅れ、樹体の凍寒害発生を防ぐために、着色開始を目途に最終房数としていきます。
特にも今年は夏から秋にかけて高温予報となっており、着色遅延による収穫の遅れによって、果実品質の低下や樹体の耐凍性の低下が懸念されますので、早期に適正着房数へ摘房するとともに、場合によっては着房数を基準より減らして、着色促進を図ることも必要です。



(3)新梢管理
棚面を明るくして果房の着色を向上し、樹勢をコントロールして養分の浪費を防ぐため、勢力の強い新梢を中心に間引きや摘心を行います。硬核期以降(7月下旬以降)に実施しますが、①赤色系品種、②紫黒色系品種、③白色系品種の順に棚面を明るくするようにします。
短梢栽培では、葉数確保のため副梢についても基部から2~3枚の葉を残して摘心していきます。しかし、混み合っている場合は適宜間引いてください。

(4)収 穫
今年の収穫は、若干早まることが予想されます。ただし、高温の影響で着色が遅れる可能性もありますので、過度に着色を待たずに、糖度などの食味に留意しながら(表5)、適期収穫に努めましょう。収穫に当たっては、農薬使用基準の使用時期(収穫前日数)には十分に注意してください。
収穫は、果実温度が低い早朝から午前中に行います。降雨後は、糖度も下がり、輸送中の腐敗も多くなるので避けるようにしましょう。
選果・調整は、果粉を落とさないように穂柄を持ち、未熟果、腐敗果、裂果等を除き、出荷形態に即して房形を整え出荷しましょう。



(5)裂果対策
収穫直前の急激な土壌水分変化は、裂果の発生を助長(写真1)します。土壌が乾燥し過ぎないよう、こまめな雑草の刈り取り、樹冠下に敷きワラ等でマルチするなどの対策を実施します。また、降雨があった場合には、過剰な水分を早期に排水できるよう、根域の周辺にビニール等を敷く、溝掘り(明渠)するなどの対策を実施しましょう。
「紅伊豆」などの雨よけハウス栽培では、温度が高くなりやすいハウス中央部などで果実の着色不良や果肉の軟化が、裂果や脱粒を引き起こすことがあります。気温が高くなると予想される日は、サイドのビニールを巻き上げる、換気扇を利用する等温度が上がりすぎないよう努めます。

3 病害虫防除
病害虫の発生状況に応じて防除を実施しますが、収穫が間近になってきております。薬剤散布や収穫開始時には、農薬の使用基準(収穫前日数、散布濃度、使用回数)や今年度の散布履歴を確認し、問題の無いことを確認したうえで作業を開始してください。
薬剤によっては、果粉の溶脱、果面の汚れなど品質を損ねることがありますので、薬剤を選択する際は注意してください。



 

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