◆現在、県内のりんごの生育ステージは展葉期前後となっており、間もなく蕾が露出しそうな園地・品種も見られます。今後、開花期に近づくにつれ、凍霜害を被る危険性が高くなりますので、毎日の気象情報に注意し、対策の徹底を図りましょう。

◆露地野菜は、定植直後の活着していない時に霜に当たると葉の白変や枯死に至る場合がありますので、べたがけ資材を利用して低温から守りましょう。

りんご


1 生育概況


定点観測地点の調査結果(表1)によると、県内全域で発芽が確認されており、生育進度はほぼ平年並で、前年より7日程度遅い生育となっています。その後、展葉が確認された地域の状況を見ると、4月中旬の高温と雨の影響で、生育は平年よりやや進んでいる傾向となっています。

現時点の開花予測では、今後の気温が平年並に推移すると、県中南部で5月第2半旬には開花始期を迎える予測となっていますが、岩手公園(盛岡城跡公園)のさくらが平年より4日早く開花した状況や、直近の1カ月予報を考慮すると、この予測より早まる可能性が高いと推察されます。

一般に展葉期以降、開花期に近づくほど、凍霜害を被る危険性が高くなりますので、4月下旬からは毎日の気象情報に注意し、事前対策の徹底を図りましょう。特に例年凍霜害を被る園地では注意してください。


2 展葉期以降の低温に注意


県内各地の「ふじ」の生育ステージの凍霜害発生危険限界温度を示したのが表2です。凍霜害発生温度や被害の様相は品種や部位、生育ステージ、低温遭遇時間などによって異なりますが、一般に展葉期を過ぎて開花期に近づくほど、凍霜害の危険性が高くなります。また、今年は生育が平年よりやや早まっており、最低気温が平年よりやや低くなっただけで被害が発生する可能性もありますので、気象情報には注意してください。


3 凍霜害対策


降霜は無風、晴天の日で、降雨の1~2日後は特に危険性が高く、さらに前日夕方18時の気温が6℃以下の場合は要注意です(図1)。但し、強い放射冷却現象が起きた場合は、前日夕方が10℃以上でも翌朝の最低気温が2℃以下になる場合もあります。

(1)凍霜害の防止対策


ア 霜溜まりの解消


傾斜地の場合、園地下方の障害物は、霜溜まりを作りやすいので除去します。例えば、園地周囲の防風ネットが冷気の流れをせき止めるような場合は、巻き上げておくか除去します。

低温層の発生位置をできるだけ低くするため、マルチを除去し草刈り等で清耕状態にしておきます。

イ 燃焼法による防止


降霜は、数日間連続することが多いので、燃焼法で対応可能な園地では、燃料を十分準備しておきます。

例)市販の防霜資材、灯油、霜カット等

火点数は概ね40カ所/10a以上を確保し、風上側に多く配置します。着火は気温が0℃になる直前に行いましょう。

なお、福島県では灯油にせん定枝チップを混用した燃焼法が利用されており、灯油をそのまま燃焼させたときと比較し、黒煙の発煙量が少なく、燃焼時間も長くなります。また、点火性も良く、資材費等の面からも有効で、1.5mの高さで2~4℃の気温上昇が期待できますので、参考にしてください(表3)。


ウ 防霜ファンの準備


防霜ファンを設置している園地では、動作の確認、始動温度(2℃)の確認をしておきます。

エ 1輪摘花を控える


摘花作業は1花そう1花とする「1輪摘花」を避け、数花そうに1花そうを残す「株摘み」とします。

オ 散水氷結法


畑地かんがい施設が整備されている地域では、スプリンクラーかん水による散水氷結法が可能ですので、防霜ファン同様に始動温度の設定等準備しておきます。

(2)被害発生後の対策


ア 被害状況の確認


凍霜害発生後、被害状況を把握するためにはナイフなどでつぼみや花を割り、内部の状況を肉眼で確認してください(図2参照)。確認する内容は、めしべから胚珠の色が健全か否かです。褐変している場合は結実が期待できません。

そして、以下の点を確認し、被害の少ない品種、少ない部位を確実に結実できるように結実対策を実施しましょう。

①中心花と側花の被害程度(中心花及び側花は結実可能であるか)

②樹上部と目通り高さの被害程度(樹上部の花は結実可能であるか)

③傾斜した園地では、園地下部と上部の被害程度

④品種毎の被害程度(被害の少ない品種は何か)


イ 人工授粉の徹底


被害を免れた花を確実に結実させるため、人工授粉を徹底します。

ウ 摘花・摘果


摘花作業は慎み、摘果剤の散布も控え、荒摘果は正常なガク立ちと果実肥大を確認後、過剰な着果を除く程度に行います。

なし、おうとう


なしはりんごより若干、霜害に強いといわれていますが、りんごより生育が早い品種が多いため、霜害のリスクはりんごと同程度と考えられます。おうとうもりんごに比べて、開花が早いため、凍霜害に遭うリスクが大きいと考えられます。

凍霜害が懸念される場合には、りんごと同様の対策を行い、凍霜害にあった場合には、被害を免れた花に人工授粉などの対策を施しましょう。

野 菜


レタスやキャベツ、ねぎは比較的低温に強い作物ですが、定植直後の活着していない時に強い霜に当たると、葉の白変や枯死に至る場合がありますので(図3)、不織布等のべたがけ資材を利用して低温から守りましょう。また、定植前であれば、強い霜が降る時期の定植を避け、比較的温暖な日が続き、活着が促進される日を選んで定植しましょう。ハウス栽培の果菜類はトンネル等により低温障害を回避しますが、急激な温度上昇による高温障害にも留意し、早目に開放しましょう。

 

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