平成22年2月16日発行 
   防除所だより    No.23
                                                岩手県病害虫防除所   TEL:0197-68-4427
                                                               FAX:0197-68-4316


☆平成21年の主要病害虫発生状況 〜病害虫この1年を振り返って〜

  病害虫防除所では、今年度も9作物を対象に病害虫発生予察調査および予察情報の提供を行いました。その中で発生の目立った
病害虫は以下の通りです(表参照)。

 注:太字は発生量「

水稲 
  葉いもちは7月下旬の天候不順の影響を受けて県北・沿岸部で平年よりやや多い発生となりましたが、穂いもちは全県的に少発生と
なりました。ばか苗病は、育苗期・本田期ともに発生が目立ちました。生物農薬による種子消毒や温湯消毒を行った地域での発生が目
立ったことから、次年度以降も種子消毒については細心の注意が必要です。また、害虫ではイネミズゾウムシイネクビボソハムシ
初期害虫の発生が目立ちました。越冬密度が高かったことに加え、春先の好天が活動に好適だったと考えられます。
畑作物 
  小麦で、萎縮病類の発生がやや多く認められました。ナンブコムギの作付け割合が高いことや、病原ウイルスにより汚染された土壌
が増えていること等が影響していると推察されます。
果樹 
  りんごでは、腐らん病が全県的に発生が見られ、わい化園では年々枝腐らんが増加傾向にあります。処置の遅れや病患部の放置等
により園地内の菌密度が高まっていると思われますので、今後も注意が必要です。
野菜 
  きゅうりでは、6月に県中南部で広く黒星病が確認されました。育苗期の感染や6月の気象条件が発生を助長したと考えられます。ねぎ
では、ネギアザミウマの発生量が生育期間を通じて多くなりました。7月上旬までの高温や8月以降の少雨が影響したと考えられます。
花き 
  りんどうでは、リンドウホソハマキや極晩生種での花腐菌核病の発生がやや多くなり、発生程度の高いほ場も見られました。

  各地域で今年度の病害虫の発生状況、防除実績および今後発表予定の「注意を要する病害虫の発生動向と防除対策」を参
考に、来年度の防除計画を検討しましょう。


◎平成21年度の病害虫診断結果
  病害虫の診断依頼は、各農業改良普及センター、農協、生産者等から病害虫防除所に寄せられ、病害虫防除所が農業研究センター病
理昆虫研究室と協力して診断し、結果と対策を依頼者にお知らせしています。
  今年度の依頼件数(平成21年4月1日〜平成22年2月10日現在)は、180件で、依頼元は普及センターが155件(86%)、農協が14件
(8%)、生産者が8件(6%)となっています。依頼された作物は、野菜86件(46%)、花き類が87件(49%)、普通作物が5件(3%)でした
(表1)。その他、ピーマンPMMoV(L3)抵抗性品種におけるPMMoV発生監視に対応したTPI診断を21件実施し、全て陰性でした。
  診断・同定の結果、原因では、病害が69件(38%)、虫害が68件(38%)、生理障害・薬害が7件(4%)となりました(表2)。

 表1 病害虫診断・同定依頼作物  表2 病害虫診断・同定結果
 
 写真 トルコギキョウに発生したINSV  



☆地域の課題を一緒に解決していきましょう!!
  病害虫防除所では、地域が抱える病害虫に関する課題について各農業改良普及センターや農協と連携しながら調査・研究を実施してい
ます。
  今年度は、水稲では斑点米カメムシ類、りんごではナミハダニやスモモヒメシンクイ、野菜・花きではハモグリバエ類、ホップではアズキノ
メイガについて現地で調査を行ってきました(詳細は今後発行予定の平成21年度植物防疫事業年報を参考にして下さい)。


◎現地実証〜斑点米カメムシ類の総合防除〜
  今年度病害虫防除所では、花巻市石鳥谷町にある八幡1区農業生産組合の皆さんと連携し、斑点米被害を軽減するための畦畔雑草の管
理体系について実証・検討を行いました。
今回の実証地域は大区画ほ場でありかつ労力が限られるということもあり、草刈りだけによる畦畔管理は困難であったため、除草剤による畦
畔管理を選択し、5月下旬と7月中旬に除草剤を散布しました(写真)。

 写真 除草剤散布風景

その結果、水稲の作期を通じて畦畔雑草の出穂を抑制することができました(図1)。

 図1 畦畔管理方法による抑草期間の違い

さらに畦畔雑草の出穂を抑制することにより、殺虫剤を散布しないほ場(実証区)でも、殺虫剤を散布したほ場(慣行区)と同様に本田にお
ける斑点米カメムシ類の発生密度を低く抑えることができました(図2)。

 図2 本田内における斑点米カメムシ類すくいとり量の推移(上:実証区、下:慣行区)
      ※実証区:畦畔除草剤管理のみ、慣行区:畦畔草刈り+本田殺虫剤散布

  しかし、いくら畦畔除草を徹底しても、本田内に雑草が発生している場合は斑点米被害が発生するリスクが高くなることが示唆され(表1)、
本田雑草も含めた管理が必要であることがわかりました。

 表1 本田内雑草の有無と斑点米の発生状況

 まだまだ課題の多い状況ではありますが、次年度以降は前年秋期の除草剤処理による斑点米カメムシ類の総合防除について現地実証を
予定しています。

 この他にも地域の課題解決に向けた取組を予定していますので、ご協力よろしくお願いします。


〜編集後記〜
 今年度は、7月の低温の影響が心配されましたが、各地の対策強化や生産者の皆様のご努力により、大きな問題となることなく過ぎることが
できました。病害虫防除所としても、地域の臨機応変な予察調査、防除体制づくり等を今後とも支援していきたいと考えておりますので、よろし
くお願いします。

〜ご注意〜
 ダウンロードPDFファイルは全てウイルスチェックを行っていますが、万一のためにダウンロードの後再度ウイルスチェックをすることをお勧め
いたします。



防除所だよりNo.23