平成22年1月
病害虫防除技術情報 No.21-1                            岩手県病害虫防除所

                   斑点米被害の要因解析
 
カスミカメムシ類による斑点米被害の要因について、平成15年から平成20年のデータを基に多変量解析を行った。その結果、カスミカ
メムシ類の密度及び本田雑草や割れ籾の有無が斑点米被害の主な要因と考えられた。また、これらの要因は斑点米被害の出現に相互
に関連していると考えられ、カスミカメムシ類による斑点米被害を防止するためには発生源対策を柱とした取組が薬剤防除と同様に重要
である。


1 方 法
 平成15年から20年の生産者へのアンケート及び巡回調査結果297事例から、各ほ場の斑点米被害の有無について、これまでの知見
等から斑点米被害に影響を与えると考えられる本田のカスミカメムシ類の有無、割れ籾の有無、薬剤防除の有無、周辺雑草の有無、畦
畔雑草の有無、本田雑草の有無の6つを要因とし(表1)、斑点米被害との関連を解析した。
 なお、本技術情報は加害種がアカスジカスミカメであることが前提である。

 表1 用いた要因と基準


2 それぞれの要因が斑点米の発生に与える影響(図1、図2)
 斑点米の被害の多少は、解析に用いた6つの要因で83%が説明できる(図1)。これらの6つの要因の個別の影響について図2に示した。

 図1 斑点米被害における要因毎の寄与率
 図2 斑点米被害における要因毎の影響
  ※ それぞれの要因の影響について数値化したもの。プラスの数値が大きいほど斑点米が発生しない確率が高い。マイナスの数
    値の絶対値が大きいほど斑点米の発生する確率が高い。


(1)斑点米カメムシの密度と雑草の管理
 カスミカメムシ類の密度は、斑点米被害に影響を与える最も直接的な要因であり、周辺や本田の雑草管理に影響されると考えられ
る。特に本田にシズイやホタルイがある場合は、これらの本田内雑草がアカスジカスミカメの産卵場所となり(図4)、9月まで本田内
にカメムシがいる状況を作り出す大きな要因となる(図5)。
(2)割れ籾の影響
 カスミカメムシ類は極めて小さなカメムシで、籾の咬合部が開口している場合に側部加害を生じるが(図3)、籾をとおしての吸汁はでき
ないとされている。そのため割れ籾が無い場合は頂部加害のみとなり、加害時期も限定されるため、被害は小さくなる。割れ籾の有無は
斑点米の発生に大きく影響を与えると考えられる。
 図3 割れ籾における側部加害

(3)薬剤防除
 薬剤防除はカメムシ類の密度を減らす有効な手段である。また、出穂3週間以降の後期加害は多くないとされているが(平成18年研究
成果)、薬剤防除のみでは、その後の周辺からの飛び込みや本田内雑草から孵化した個体による密度増加が見られた場合、後期加害に
より大きな斑点米被害となる可能性があり、本田に雑草がある状態では十分な防除効果が得られないことが懸念される。

3 斑点米カメムシ類の防除における考え方
 アカスジカスミカメは本田内雑草に産卵することが明かとなっており(図4)、防除実施後、登熟期後半から9月上旬の本田内密度は、イ
ヌホタルイやシズイなどの本田雑草が多いと高くなる(図5)。

 図4 イヌホタルイに産み付けられたアカスジの卵(○内)  図5 本田における雑草の発生状況と9月の本田内カスミカメムシ類
    密度

 このことから、後期加害による斑点米被害を防止するためには、本田内の除草を徹底することが重要である。また、周辺から本田への
飛び込みを防ぐためには畦畔やほ場周辺の発生源対策も重要であり、薬剤防除はこれらの発生源対策と併せて実施する必要があ
る。
斑点米カメムシのように、発生源が本田以外にも由来し、品質被害をもたらす害虫の防除については、被害の発生に関連している要因をど
れだけ除去できるかがポイントとなる。

4 斑点米カメムシ類の予察における考え方
 斑点米の発生は、本田内雑草におけるカスミカメムシ類の増殖や周辺雑草や畦畔からの飛び込みよる後期加害等により助長される。
本田内雑草や畦畔雑草、周辺雑草等の発生源対策については管理によるところが大きいことから、発生予察には個体群密度の増加及び
登熟期の後期加害を予測することが最も重要である。
そのためには発生源となる牧草地や畦畔でのすくい取りや出穂期以降の本田におけるすくい取りにより、カスミカメムシ類の密度を観察す
ることが有効と考えられる。

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斑点米被害の要因解析