農作物技術情報 第8号 水稲


◆ 今年のイネ作りを振り返り、生産コストの低減に向けて総合的に栽培管理や技術内容の見直しを行いましょう。

1 本年の生育経過と作柄
今年の水稲の生育経過を見ると、育苗期は気温の変化が大きく、平年を大きく下回ったこともありましたが、全般に病害発生も少なく、良苗が確保されました。移植後の活着は良好でしたが、6月に入ると気温・日照時間とも平年を大きく下回ったことから、分げつ発生は緩慢でした。茎数不足が懸念されましたが6月下旬から天候が回復し、茎数は平年を上回りました。

7月は好天に恵まれ、幼穂形成期は平年並(県全体(全品種込み):7月12日(平年差+1日))であったことから、県全体の出穂盛期(50%出穂)も平年並(県全体(全品種込み):8月6日頃(平年差:±0日))でした。しかし8月に入り、低温日照不足で経過した影響により、出穂終期(90%出穂)は平年よりも2日遅れの8月12日頃になりました。特に県北部や沿岸部の出穂が遅れました。

登熟期間も低温で経過し、成熟期は平年よりも7日程度遅れました。加えて長雨や台風襲来により刈取作業は思うように進まず、刈取終期も遅くなりました。

8月の低温日照不足や9月の低温、長雨などの影響が懸念されますが、9月15日現在における岩手県の作柄概況(農林水産省東北農政局,平成29年9月29日公表)は、作況指数100(篩い目幅1.85mm)、10a当たり予想収量は524kg/10aと見込まれています。岩手県の1等比率(9月30日現在)は、平成29年産米検査結果(農林水産省,平成29年10月25日発表)によると“うるち玄米”が93.4%、“もち玄米”が96.2%です。2等以下に格付けされた主な理由は、①充実度(総検査数量に対する割合:2.5%)、②着色粒(カメムシ類)(同、1.4%)、③その他(同、1.0%)の順となっています。

2 来年の作付けに向けて
今年は出穂開花期の低温日照不足や登熟期の低温や長雨などにより、成熟期が平年よりも遅れ、なおかつ稲刈りの時期を迎えても圃場状態が悪く、刈取作業が進みづらい年でした。
来年の水稲作付けに向けて、今年の栽培管理を振り返り、基本技術が励行できていたか、コスト低減の無駄はなかったか等について分析や検討を行いましょう。溝切りや排水溝など明渠堀作業を行うなど、機械作業が可能な地耐力を得られるよう作業計画を立てましょう。

3 稲作の低コスト栽培技術の導入に向けて
平成29年産の米価は、昨年に引き続き前年を上回って回復傾向を見せていますが、依然としてコスト低減に向けた努力は求められています。稲作コストの低減に向けては、「資材費」の低減が効果的ですが、安易に必要な資材までも使用を控えると収量確保や良質米生産に悪影響を与えてしまいます。以下のような観点から総合的なコスト低減に努めましょう。

①作付面積の拡大(規模拡大)⇒ 10aあたり生産費の低減
②生産量の増加(収量増加) ⇒ 60kgあたり生産費、生産物10,000円あたり生産費の低減
③販売単価の向上(有利販売)⇒ 生産物10,000円あたり生産費の低減

生産コストの低減手法については「低コスト稲作栽培技術マニュアル(平成29年3月、岩手県)」が作成され、いわてアグリベンチャーネットに掲載されています。是非一度、お手持ちのパソコンやスマートフォンから確認してみましょう。
(掲載アドレス http://i-agri.net/Index/gate007/001/7594)
また各種のICT技術が農業分野に活用されてきており、県内でも農業用GPSシステムの導入に向けた取り組みが始まっています。県内外の先進事例などの動向に注目し、将来的な経営への活用などを今から考えてみましょう。

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