【一関農業改良普及センター】



■ 課題名


実需者ニーズに即した主食用米産地の形成

■ ねらい


一関地方の「金色の風」の栽培は、平成29年からJAいわて平泉「金色の風」栽培研究会16名27.5haで始まった。これまで、モデル実証ほの設置や全会員の圃場巡回など、全国最高水準の品質と食味の実現に向けて取り組んでいる。
29年6月に、研究会会長から会員に、安全安心な一関地方産「金色の風」の差別化や新たな販路確保等に向けてGAPの取組が提案され、栽培研究会としてASIAGAP団体認証の取得及び県版GAP確認登録を目指す取組を支援した。

■ 活動対象


JAいわて平泉「金色の風」栽培研究会

■ 活動経過


(1) 普及センター及び関係団体による支援体制の確立


  ア 普及センターにおける支援体制の強化



  • ASIAGAP・JGAP指導員資格所有者を増員し、所内GAP支援チームを編成

  • 中央普及センター県域普及グループ(県域G)に指導支援を要請


  イ JAいわて平泉及びJAグループGAP支援チームとの連携



  • JAいわて平泉(JA)で配置された2名のGAP担当職員及びJGAP指導員資格を持つ研究会会長と取組方針や計画について協議

  • JAグループGAP支援チームによる事業を活用し、外部講師と、取組農家に対する指導内容を協議したほか、団体事務局を務めるJAへの指導を分担


(2) 関係団体と連携を密にしたASIAGAP取組支援


  ア 集合研修の開催


平成29年度は、GAPの基礎から実践に向けた内容まで集合研修を重ねた。
30年度は、中央普及センター県域普及グループと連携し、HACCPの考え方に基づいた、農場内の食品安全に係るリスクの評価や救命救急等、実習形式で農家に実践してもらう研修内容とした。

  イ 農場ごとの事情に応じたGAP取組の提案


集合研修とあわせて、農家個別の事情に対応した取組を行ってもらうため、JA、外部講師及び県域Gとともに取組農場全員に対して巡回を繰り返し、農場整理や必要な台帳類の作成を支援した。
巡回には農家も参加し、相互に取組状況を確認し合えるようにした。
平成30年6月には、外部審査を想定した内部監査を実施し、全取組農場に対して是正が必要な項目を指導した。7月にはJAと分担して再度全農場を巡回し、是正状況を確認した。

(3) 県版GAP確認登録に向けた取組支援


  ア 県版GAP取組支援に向けた所内チームの再編成


ASIAGAP団体認証取得に向けた支援が佳境を迎えた7月から、ASIAGAP取組農家以外の金色の風栽培農家に、県版GAPの指導を開始した。
県版GAPでは、指導者役と現地調査役の分担が必要となったことから、所内で協議し、GAP支援チームの再編成を行った。

  イ ASIAGAP取組事例を活用した県版GAP取組支援


県版GAPの取組では、ASIAGAPの取組事例を活用した。まず、GAPの基礎や取組の流れに関して、取組農家の抵抗感を和らげるよう、ASIAGAPと比較しながら説明した。また、農場の整理整頓や各種台帳類の作成に関しても、ASIAGAPに取り組んだ農場の事例を交えながら指導を行い、農家が取組の具体的なイメージを持てるように工夫した。30年12月の審査会に向けて、秋の収穫作業の合間を縫いながら、JAと連携して研修会及び個別巡回を繰り返した。

■ 活動成果


(1) 認証の取得及び確認登録


ASIAGAPに取り組んだ農家9名は、「JAいわて平泉ブランド米部会」として、30年10月に東北で初となる、「ASIAGAPVer.2 穀物」団体認証を取得した。
また、県版GAPに取り組んだ農家は、8農場で構成される「JAいわて平泉ブランディング米部会」及び1法人が、それぞれ団体及び個別で「県版GAP確認登録」を実現した。

(2) GAPに取り組んだことによる効果


GAPに取り組んだ農家は、安全な農産物の生産に向けて、農場内で抱えるリスクを検討して低減に努めたことで、農場内が整理され、作業の効率が上がったことを実感した。また、取組にあたり家族内でGAPに関して話し合ったことで、家族で経営を見直す機会になったと話す農家もいた。
また、ASIAGAP認証を取得した「金色の風」の取引を希望した米穀専門店での販売も始まり、新たな販路の獲得に繋がっている。

JAいわて平泉「金色の風」栽培研究会 会長 小野正一氏 取組過程では親子や家族一丸となったことで継承者育成に一役買いました。認証取得後は、お米マイスターのいるお米屋では「ASIAGAP認証を取得したJAいわて平泉の平泉産のSさんの金色の風です」と言う様に一口POPになると言います。山口県を始め、県内外からの研修依頼も多く、こんなに早く効果が現れるとは想定外でした。今後は、GAP本来の目的である、データを活用した経営改善と仲間の育成に取り組みます。
所属職名:JAいわて平泉「金色の風」栽培研究会 会長   氏名:小野正一

■ 協働した機関


JAいわて平泉、JA全農、JA全農いわて、JA岩手県中央会、農林水産部農業普及技術課、中央農業改良普及センター県域普及グループ

■ 一関農業改良普及センター


水田営農推進チーム(チームリーダー:佐藤千秋、チーム員:佐藤拓也、菅原真澄)
GAP支援チーム(細川健、木村和博、薄衣麻里子、柴田愛里)
執筆者:佐藤拓也