【中央農業改良普及センター県域普及グループ】



■ 課題名


オリジナル水稲新品種の普及拡大【P】

■ ねらい


〔平成26年当時〕米価下落により米の収益性が大幅に低下しており、ブランド米による産地間競争が激化しており、需要に対応した売れる県産米の生産拡大が必要であった。県オリジナル水稲品種「銀河のしずく」「金色の風」が育成され、ブランド化による県産米全体の評価向上が期待される中、新品種を速やかに普及定着させることを目的とした。

〔平成30年現在〕米価は4年連続で持ち直し、平成26年が底という状況を脱しつつある。しかし平成30年から生産調整が廃止され、需要に対応した売れる県産米の安定供給が是非に必要となってきている。県産米全体の評価向上が期待される中、「銀河のしずく」「金色の風」を普及定着させることが急務となっている。

■ 活動対象


岩手県「銀河のしずく」栽培研究会、4つの地域研究会を支援する農業改良普及センター(八幡平・盛岡・中央(地域)・大船渡)及び適地実証圃を有する県内普及センター

■ 活動経過


(1) 新品種における良食味・高品質米栽培技術の確立


ア 安定栽培適地の把握と作付誘導【対象:普及員ほか】


平成28年度から一般栽培がスタートし、栽培適地にはモデル展示圃、栽培適地外には栽培適地実証圃を設置し、生育調査を通じて地域適応性や品種の生育特性把握に努めた。

イ 良食味・高品質米の安定栽培技術指導【対象:研究会】


平成28年5月に栽培適地である4JA管内に4つの地域栽培研究会が設立され、県全体の栽培指導や情報共有のために同5月、岩手県「銀河のしずく」栽培研究会が設立された。県域普及グループは事務局として参画した。

県研究会活動として、『「銀河のしずく」栽培マニュアル』に基づき、栽培研究会を年間4回(6、7、9、1月)程度開催、栽培指導を行った。マニュアルは毎年改訂した。

ウ 研究会活動を通じた安定栽培技術向上【対象:普及員及び研究会】


マニュアルに示した品質目標(一等米確保(整粒歩合80%以上が目標)、玄米タンパク質含有率7.3%以下(玄米水分0%換算))を達成するために、栽培指導を行った。平成29年からは肥効調節型肥料について普及指導員調査研究活動を実施した。

(2) 新品種のPR等による知名度の向上



  • 県産米戦略室との連携のもと、達増知事による「銀河のしずく」の田植(H27、28)、稲刈り(H27、28)に参加し、生産者及び消費者へのPR活動を行った。

  • 平成29年度からは「銀河のしずく頂上コンテスト」を開催し、当年度のもっともおいしい「銀河のしずく」を選定するイベント開催を支援した。


■ 活動成果


(1) 新品種における良食味・高品質米栽培技術の確立


ア モデル展示圃および栽培適地実証圃設置:3年間で延べ180か所以上設置し、各地域研究会事務局(JA職員、地域普及センター)らが調査を実施した。県域普及グループはその調査結果を集約し、研究会にて情報共有した。地域研究会では、地域に密着したタイムリーな栽培指導を実施した。

第1回岩手県「銀河のしずく」栽培研究会第1回岩手県「銀河のしずく」栽培研究会(平成28年6月1日 農研センター会議室)

イ 栽培マニュアルの改訂:農業研究センター研究成果(全5成果)およびモデル展示圃等データをもとに年1回改訂した。平成29年から試験してきた肥効調節型肥料も技術のメニューとして加えられた。

ウ 品質目標の達成:マニュアルに示した品質目標をもとに「農産物検査結果が一等米であること、かつ玄米タンパク質含有率7.3%以下(玄米水分0%換算)であること」という出荷基準が設定され、おおむね90%以上がクリアした。

エ H30作付面積:岩手県産米のブランド力向上につなげるため、着実にじっくりと増やしていく方針に転換したが、H28作付面積146haであったものが、H30作付面積は約10倍に相当する1403haに増加した。

(2) 新品種のPR等による知名度の向上


ア 知事によるPR活動、各種コンテスト(※)での入賞などにより、生産者および消費者に広く認知されつつある。

  • 米のヒット甲子園(主催:日経トレンディ):2016大賞、2018まで最終9品種に連続ノミネート

  • おにぎり食味会(主催:(一社)おにぎり協会):第1回 2位、第2回 3位 連続入賞


イ (一社)日本穀物検定協会が実施している食味ランキングにて、平成27年及び28年に参考品種として2年連続「特A」と評価され、平成30年は県オリジナル水稲品種として初めて、食味ランキング「特A」と評価された。

「銀河のしずく」「特A」評価の見出しなど
「銀河のしずく」「特A」評価の見出しなど(平成31年2月28日ほか、イメージ)

ウ 品質目標が達成されたことにより、栽培した各年度の流通量を当初設定どおりに確保できたことにより知名度の向上につながった。

 

細川勝浩氏「銀河のしずく」は平成27年のデビュー以来、栽培マニュアルを元に普及員の指導の下、各地域で順調な栽培を行ってきました。今回、岩手県オリジナル品種として、初の「特A」評価をいただき、生産農家の大きな励みになりました。「銀河のしずく」は岩手の気候に合ったすばらしいお米だと思います。“白くてつややか、かろやかな食感”この「銀河のしずく」が全国に羽ばたくよう、さらに頑張っていきます。
所属職名:岩手県銀河のしずく栽培研究会会長  氏名:細川勝浩(モデル展示圃担当農家)

■ 協働した機関


岩手県「銀河のしずく」栽培研究会、地域農業改良普及センター、県産米戦略室

■ 中央農業改良普及センター県域普及グループ


水田利用・生産環境チーム(チームリーダー:中西商量、チーム員:横田紀雄、渡邊麻由子)
執筆者:中西商量