【八幡平農業改良普及センター】



■ 課題名


キャベツ・ピーマンの産地力強化

■ ねらい


岩手町を中心に生産されているキャベツ「いわて春みどり」は作付面積421haと東北一の産地であるが、平均単収は4.0t/10a前後で停滞している。JA新いわて東部地域春みどり専門部会では、単収目標を5.0t/10aに設定し単収向上に取り組んでおり、この目標達成のため部会活動の支援を行う。

■ 活動対象


JA新いわて東部地域春みどり専門部会

■ 活動経過


(1) 優良品種の選定


既存品種では生育不揃いや低温期(秋期)の生育停滞等の課題があるため、農協部会内の品種検討委員会で試験品種の試作を行い、優良品種の選定を支援した。

玉揃いが良好で、低温伸張性良いW4218を優良品種として導入する方向で検討中(H32以降導入)。

(2) 栽培体系の検討


部会の平均単収を向上させるため、農協担当者と協議し、単収の低い農家を「単収改善農家」として選定。単収改善農家を農協とともに定期的に巡回し、課題の洗い出しにより、防除方法、施肥指導など具体的な改善すべき点を提案し、再訪問時に対応内容を確認するなど重点指導を実施した。

(3) 病害虫防除技術の確立


発生予察圃の調査結果を活用し、FAX情報発信によるタイムリーな防除情報の提供を年間17~28回実施。

H30はSNS(ライン)による情報発信体制を構築し、試用開始。次年度にはよりタイムリーな防除情報の発信を目指し、本格的な運用を実施する予定である。

(4) 獣害対策実施支援


外さく※1の恒久電気さく※2が、防除等生育途中の機械作業の邪魔にならないこと、毎年の設置撤収が楽になることからキャベツ大規模栽培に向くことを実証。普及推進により、設置面積が拡大(H26:8ha→H30:78.6ha)。

※1:圃場周りの通路の外側に電気さくを張ることで、トラクタ旋回等の邪魔にならない。

※2:硬い番線による電気さく。導入の際の労力大きいが、毎年の設置撤収が楽になる。

■ 活動成果


それぞれの対策は進んだが、繁忙期に対策を実施しきれていないなど単収向上に結び付けることができなかった。

(1) 今後導入が期待される品種「W4218」がH32からの作付けに向けて選定された。

W4218の特性:玉揃いが良い、低温伸張性あり、作業性良好

写真1 品種検討委員会によるほ場での品種評価
写真1 品種検討委員会によるほ場での品種評価

(2) 単収改善農家5戸の低単収要因が明らかになり、生産者自ら具体的な解決に向けて取り組んでいる。

写真2 農協との単収改善農家へのほ場巡回
写真2 農協との単収改善農家へのほ場巡回

(3) 発生予察圃の活用やタイムリーな情報伝達により、ジアミド系殺虫剤(薬剤耐性コナガ発現している)に頼らない防除が定着した。

(4) 食害発生ほ場すべてで電気さくが導入され、シカによる被害は無くなっている。(8戸78.64haに導入)

表 キャベツの生産動向

今後の対応方向として、これまでの個別指導や、優良品種の選定を継続するとともに、農業研究センターなどと連携した生育斉一性向上技術の確立に取組む。

 

福島昭彦氏 キャベツの品種については、秋どり作型に新たな品種を入れる目途が立った。ほかの作型についても新たな品種を検討し、「いわて春みどり」で使える品種を増やしていきたい。現地での生育状況を確認しながらの助言が非常に役立つので、現地指導を中心に取り組んでほしい。SNSによる情報発信など、若い生産者に向けた取り組みも重要と感じます。部会の目標である平均単収5.0t/10aを達成できるよう、取り組んでいきます。
所属職名:JA新いわて東部地域春みどり専門部会 部会長  氏名:福島昭彦

■ 協働した機関


JA新いわて東部営農経済センター、岩手町

■ 八幡平農業改良普及センター


高原野菜チーム(チームリーダー:小原善一、チーム員:千田裕)
執筆者:小原善一