【一関農業改良普及センター】
■ 課題名
体質の強い花き産地構造の構築
■ ねらい
一関地域の小菊は栽培面積39ha、出荷数量7,598千本(いずれも平成30年)と県内第1位の産地を形成しているが、近年は生産者の高齢化等により、生産者数、栽培面積とも減少傾向となっている。そこで当所では、次代を担う生産者の早期技術習得と経営目標達成のため、関係機関や地域のベテラン生産者の協力の下に、新規栽培者の育成支援を行った。
■ 活動対象
新規栽培者(小ぎく栽培経験年数が概ね3年以内の生産者)8名
■ 活動経過
(1) 新規生産者の育成
ア 対象者リストアップとJAとの共有
小ぎく栽培志向者、集落営農組織等への品目紹介をJAと連携して実施し、新規栽培者の掘り起こしを行った。また、地域の新規栽培者をリスト化し、情報共有にあたった。
イ ベテラン生産者と対象者のマッチング
活動対象である新規栽培者8名のうち、平成30年度より栽培を開始した1名ついて、地域のベテラン生産者から直接技術を教わりながら技術を習得できるよう、当所及びJAが新規・ベテランの両者を引き合わせ、教わるよう促した。なお、他の対象者については、過年度に同様の支援を実施済みである。
(2) 経営目標の設定・達成支援
ア 対象者との目標共有と個別指導
対象者と個別に面談して目標の設定を行い、その達成に向けて、個別の状況に応じた栽培管理指導を実施した。
イ 実績検討とフォローアップ
個別実績検討シートを作成し、各対象者と面談により単収や時期別の出荷割合等の実績を確認した。これにより目標達成ができなかった栽培者に対しては、結果を分析して課題を明らかにし、改善点を共有し、次の計画に反映させ、支援を行った。
(3) 新規栽培者の技術習得支援
以下の年間スケジュールに基づき、地域のベテラン生産者による作業実演を主とした花き栽培初心者セミナーを開催し、対象者の技術習得を支援した。
なお、本取組は当所が主体となって開催していたが、対象者やベテラン生産者の意向を踏まえ、開催回数を大幅に増やし、年7回の開催とした。
また、部会としても新規栽培者の早期育成が重要であることから、平成30年度から部会との共催で取り組むこととした。


ベテラン生産者による技術指導
■ 活動成果
(1) 新規栽培者の支援体制づくり
- 新規栽培者リストの共有や掘り起こし等の活動をJAと連携して実施し、取組状況を関係者で共有したことで、関係機関・部会が一体となって支援する体制が定着してきた。
- ベテラン生産者と対象者のマッチングを支援したことで、直接ベテラン生産者の教えを請い、指導を受ける対象者も見られている。
(2) 新規栽培者の技術習得状況
- 各管理作業の実施時期に合わせたセミナーを開催したことで、作業内容の理解促進と適期の作業実施に繋がった。H30年度は経営目標の達成には至らない対象が多かったが、前年に比べて技術習得が大きく進み、特に親株管理の状況が良好となり、定植用苗の採穂数の確保が見込まれている対象者が増加した。
- ベテラン生産者との交流が促進されたことから、対象者からは好評を得ている。

熱心に意見交換する対象者

今後とも普及センターや部会と連携・協力を図りながら、新規栽培者の育成を支援したいと思います。
所属職名:JAいわて平泉営農部園芸課 氏名:渋谷光
■ 協働した機関
農業振興協議会園芸特産部会、JAいわて平泉花き部会、一関地方農林業振興協議会
■ 一関農業改良普及センター
花き振興チーム(チームリーダー:志田たつ子、チーム員:鈴木翔)
執筆者:鈴木翔