【二戸農業改良普及センター】



■ 課題名


果樹のブランド化推進と生産力向上支援

■ ねらい


二戸地域は、昼夜の寒暖差があり降水量が少ない等の果樹栽培に適した気象条件であることから、りんご、おうとう、ブルーベリー等の多様な果樹の産地を形成している。しかし、高品質な果物を生産してきたものの、二戸地域の果物の単価は低迷が続いていた。

そこで、農家の所得向上のために、ブランドりんご「冬恋」を中心としたブランド果物の生産拡大と品質向上、知名度向上に取り組んだ。

■ 活動対象


岩手冬恋研究会 会員101名、二戸地方観光農業推進協議会

■ 活動経過


(1) 「はるか(冬恋)」の生産拡大(H27~30)


  ア 改植事業を活用した「はるか」への改植誘導


高単価で販売可能であることを指導会等で示し、「はるか」への改植を促した。

  イ 指導会等による栽培技術向上支援


小玉になりやすい、果実表面が荒れやすい等の品種特性があったことから、早期に適正な着果量とすることや適期の袋掛け作業等の技術指導を行った(年3回、合計12回)。

(2) 「はるか(冬恋)」の安定生産(H29~30)


  ア 選果データ(糖度、蜜入り)と地理情報システムを活用した冬恋率向上支援


栽培面積が増加するにつれ、年次変動があることや生産者、園地の栽培条件等の違いによって冬恋率(「はるか」のうち糖度、蜜入り等の選果基準を満たし「冬恋」として販売される割合)に差があることが分かった。そこで、冬恋率を高くする条件を明らかにするために、選果データや園地の樹体条件調査、地理情報を組み合わせて解析を行った。

(3) PR活動による知名度向上(H27~30)


  ア 「来てもらう」


収穫体験の実施(合計11回、のべ参加人数315名)。

写真1 冬恋収穫体験写真1 冬恋収穫体験

  イ 「買ってもらう」


大消費地での試食販売会の実施(合計9回)。

写真2 試食販売会(東京)写真2 試食販売会(東京)

  ウ 「知ってもらう」



  • PR動画の作成(消費者、市場関係者用計6本)。

  • マスメディアを利用したPR


■ 活動成果


(1) 「はるか(冬恋)」の生産拡大


「はるか」の選果数量は、平成26~30年の4年間にかけて約3倍に増加した(H26:42.0トン、H30:118.2トン)。生産者へのアンケート調査によると、「はるか」導入の理由として『高単価で販売できる』『今後も高単価で販売できそう』との回答が多かった。高単価で販売可能であることに加え、改植事業の活用といった具体的な手法を示したことが短期間での生産拡大につながった。

(2) 「はるか(冬恋)」の安定生産


解析の結果、樹齢が進むにつれ冬恋率が下がることや、蜜入りは慣行栽培より良好な日照条件が必要であることが明らかになった。得られた結果を関係機関で共有し、ショートサイクルでの改植やジョイント栽培等の新技術の導入検討を行った。

(3) PR活動による知名度向上


「はるか(冬恋)」を含めブランド果物の産地としての二戸地域の知名度が向上したことにより、地域の観光農園の入場者数は増加した。また、収穫体験客を対象としたアンケート調査によると、平成26~28年度の3年間で「冬恋」を知っている人の割合は約30%増加した(H26:29.4%、H28:61.8%)。さらに、地域のりんごの平均単価も向上した。産地の知名度向上により、ブランド果物だけでなく、その他のりんごの販売単価についても上昇傾向にある。

今後は、東北の大消費地である仙台でのPRを強化し、新たなブランド果物の育成等を含めたブランド戦略を展開していく。

中里久雄氏ブランド果物のPR活動を通して、ブランドや産地の知名度向上だけでなく、二戸地域全体、特に若い世代の生産意欲の向上につながったと感じている。生産部会でも、改植が進んだことにより取り扱い品種の整理が行われるなど、産地としての体制強化が進んだ。
今後は、ブランドりんご「冬恋」での取り組みを足がかりとして、他のブランド果物のPR活動にも関係機関と協力して取り組みたいと考えている。
所属職名:二戸地方観光農業推進協議会 会長   氏名:中里久雄

■ 協働した機関


各市町村、JA全農いわて、新岩手農業協同組合、県北広域振興局農政部二戸農林振興センター、二戸地方観光農業推進協議会

■ 二戸農業改良普及センター


園芸経営体育成チーム(チームリーダー:小野浩司、チーム員:赤坂志保、村上珠利、安久津留奈、赤坂尚生、戸田沢ひかる)
執筆者:戸田沢ひかる