◆ 県内のりんごの生育は、蕾が露出する時期からピンクに色づく時期となっており、生育の進みは平年並からやや早めとなっています。
◆ 多くの地域で最も低温に弱い生育ステージとなっており、凍霜害の危険性が高くなりますので、毎日の気象情報に注意し、被害軽減対策の徹底を図りましょう。

りんご


1 生育概況について
定点調査地点の調査結果(表1)によると、「ふじ」の発芽・展葉は全ての地域で確認され、生育進度は「平年並からやや早め」となっています。
3月中旬までの高温で県南部の発芽は記録的に早くなりましたが、3月下旬から4月上旬の低温で生育が停滞し、県中北部の発芽及び県全域の展葉は平年並からやや早めとなりました。
現時点の開花予想は、平年の発芽・展葉から開花に要する日数を、今年の発芽・展葉日に当てはめて算出すると、「ふじ」で5月第1半旬には開花が始まると推察されます(表1)。
なお4月20日朝の低温・降霜により、一部地域のりんごやおうとうで、めしべの褐変等の凍霜害が発生しています。被害を被った園地では、被害状況を確認のうえ、人工授粉等被害軽減対策を徹底しましょう。


2 展葉期以降の低温に注意!
県内の「ふじ」の生育ステージの凍霜害発生危険限界温度を示したのが表2で、凍霜害発生温度や被害の様相は、品種や部位、生育ステージ、低温遭遇時間などによって異なり、一般に展葉期を過ぎて開花期に近づくほど、凍霜害の危険性が高くなります。
また4月18日仙台管区気象台発表の1か月予報によると、4月27日から5月3日の平均気温は平年並か低いと予報され、この期間はりんごの開花直前で低温に弱い時期に当たりますので、毎日の気象情報には注意し凍霜害発生のリスクが高いと判断された場合は、事前対策の徹底を図りましょう。



3 凍霜害対策 について
降霜は無風、晴天の日で、降雨の1~2日後は特に危険性が高く、さらに前日夕方18時の気温が6℃以下の場合は要注意です(図1)。但し、強い放射冷却現象が起きた場合は、前日夕方が10℃以上でも翌朝の最低気温が2℃以下になる場合もあります。

(1)凍霜害の防止対策
ア 霜溜まりの解消
傾斜地の場合、園地下方の障害物は、霜溜まりを作りやすいので除去します。例えば、園地周囲の防風ネットが冷気の流れをせき止めるような場合は、巻き上げておくか除去します。
低温層の発生位置をできるだけ低くするため、マルチを除去し草刈り等で清耕状態にしておきます。
イ 燃焼法による防止
降霜は、数日間連続することが多いので、燃焼法で対応可能な園地では、燃料を十分準備しておきます。
例)市販の防霜資材、灯油、霜カット等
火点数は概ね40カ所/10a以上を確保し、風上側に多く配置します。着火は気温が0℃になる直前に行いましょう。
なお、灯油にせん定枝チップを混用した燃焼法も効果的であり、灯油をそのまま燃焼させたときと比較し、黒煙の発煙量が少なく、燃焼時間も長くなります。また、点火性も良く、資材費等の面からも有効で、1.5mの高さで2~4℃の気温上昇が期待できますので、参考にしてください(表3)。



ウ 防霜ファンの準備
防霜ファンを設置している園地では、動作の確認、始動温度(2℃)の確認をしておきます。
エ 1輪摘花を控える
摘花作業は1花そう1花とする「1輪摘花」を避け、数花そうに1花そうを残す「株摘み」とします。
オ 散水氷結法
畑地かんがい施設が整備されている地域では、スプリンクラーかん水による散水氷結法が可能ですので、防霜ファン同様に始動温度の設定等準備しておきます。

(2)被害発生後の対策:被害が発生した場合は次の対策を講じてください
ア 被害状況の確認 
凍霜害発生後、被害状況を把握するためにはナイフなどでつぼみや花を割り、内部の状況を肉眼で確認して下さい(図2参照)。確認する内容は、めしべから胚珠の色が健全か否かです。褐変している場合は結実が期待できません。
そして、以下の点を確認し、被害の少ない品種、少ない部位を確実に結実できるように結実対策を実施しましょう。
①中心花と側花の被害程度(中心花及び側花は結実可能であるか)
②樹上部と目通り高さの被害程度(樹上部の花は結実可能であるか)
③傾斜した園地では、園地下部と上部の被害程度
④品種毎の被害程度(被害の少ない品種は何か)


イ 人工授粉の徹底
被害を免れた花を確実に結実させるため、人工授粉を徹底します。
ウ 摘花・摘果
摘花作業は慎み、摘果剤の散布も控え、被害様相が明らかになり結実を確認してから実施します。また、結実しても、サビ果、不正形果が出るので、予備摘果は多めに残し、仕上げ摘果で良い果形のものを残すようにします。

(3)おうとうについての事後対策(図3)
おうとうは、りんごに比べ開花期が早いため、凍霜害の発生するリスクが高くなります。
凍霜害が発生した場合は、りんごと同様に被害を免れた花へ人工授粉を実施し、結実を確保します。なお、凍霜害によりめしべが褐変したり欠落した花でも、その花粉を授粉用に用いることができますが、受粉樹の被害が大きい場合、開花数が不足することがありますので、授粉用の花粉を購入するなどの準備を進めてください。

4 栽培管理のポイント
りんごの大玉生産及び隔年結果防止を図る最大のポイントは早期の適正着果であり、予備摘果(あら摘果)の時期が早いほど、その効果は顕著に現れます(図4)。
経営面積や労力の状況によって、早期の適正着果が困難な場合は、摘花剤・摘果剤の利用が効果的です。特に今年は、開花量が多くなることが予想されますので、今まで使用したことのない生産者も、積極的な利用を検討してください。
なお凍霜害の発生が懸念される場合は、被害状況を確認したうえで、摘花剤や摘果剤の利用を検討してください。


(1)人工授粉
結実を安定させるため、訪花昆虫導入と併せて、可能な限り人工授粉を実施しましょう。大規模園では、背負式人工授粉機や羽毛回転型電池式人工授粉機を活用すると効率的です。
花粉は、市販のものを用いる他、親和性のある品種の花(風船状が理想的)を摘み取り、開葯して用いることができます。主要品種の交雑和合性は表4を参考としてください。
また開葯した花粉は、乾燥剤とともに密閉容器に入れ、冷凍庫で貯蔵することができます。なお授粉に使用する花粉は、予め発芽力を検定し希釈倍率を決定します。
(2)摘花
貯蔵養分の消耗を抑えるため、摘花を実施します。主に腋芽花や日当たりの悪い部分にある生育の悪い花を花そうごと摘み取ります。
摘花は、早期に余計な花を摘み取ることで大玉生産につながる他、短期間に労力の必要な摘果作業の分散にも有効です。開花数の多い年は、積極的に実施しましょう。
(3)摘果
最初に、1 果そう1 果とするあら摘果を実施し、その際、不要な果そうの果実を積極的に除いていきます。その後、果実肥大や品質を確認しながら仕上げ摘果を進めますが、摘果終了の目安は落花30 日後です。作業を計画的に進め、早期摘果を心がけてください。


(4)摘花剤・摘果剤について
摘花・摘果作業の省力化を図り、大玉生産及び隔年結果防止を図るためには、摘花剤・摘果剤の利用が有効です。なお摘花剤や摘果剤を使用する際は、必ずラベルを確認し、使用基準を遵守しましょう。
ア 摘花剤
現在摘花剤として登録のある薬剤は、石灰硫黄合剤とギ酸カルシウム水溶剤(商品名:エコルーキー)の2剤で、それぞれの登録内容は表5のとおりです。なお、ミツバチを放飼する場合は、摘花剤散布前に養蜂業者へ連絡・確認し、事前にミツバチを撤去する等必要な対策を講じたうえで使用してください。



イ 摘果剤
ミクロデナポン水和剤85を用います。効果は発育の遅れた生育の悪い果実に作用するので、頂芽中心果と側果の発育に差があるほど高い効果が得られます。
登録内容は表5のとおり。散布時期は「ふじ」で満開2週間後、中心果横径10mm前後が目安で、他の品種は満開3週間後となります。
平成25年度岩手県農業研究センター試験研究成果で、「大夢」、「黄香」は満開2週間後、「紅いわて」、「もりのかがやき」は満開3週間後の散布が効果的であるとしています。ただし「紅いわて」は、年次によってサビ果の発生が見られる場合もあるので、散布時に果実表面が乾きにくいような気象条件下での散布は控えてください。「はるか」は、年により過剰落果する恐れがあるため、摘果剤の使用は控えてください。
なお平成28年度岩手県農業研究センター試験研究成果で、「紅ロマン」は摘果剤による摘果効果は見られないため、摘花及び人力による摘果を早期に実施することとしています。
また、ミクロデナポン水和剤85の効果が確認されている品種及び過剰落果の可能性があり、使用を差し控える品種が示されています(表6)。表6に示されていない品種で使用する際は、効果や薬害を確認した上で使用してください。



5 病害虫防除
(1)病害虫の発生状況や防除については、病害虫防除所が発行する発生予察情報等を参考に、適期防除に努めましょう。特にも5~6月は褐斑病など多くの病害の防除適期ですので、防除薬剤の散布間隔が空きすぎないように注意するとともに、降雨前の散布を心がけてください。
(2)今年は黒星病への対応が重要となります。具体的な防除対策は、平成31年4月24日発行の農作物病害虫発生予察情報第2号を参考としてください。なお散布ムラは発生助長要因となるので、散布した薬剤が樹全体に到達するように、十分な散布量を確保してください。また、苗木および未結果樹についても、成木と同様に春先から薬剤防除を徹底しましょう。
(3)カメムシ類の越冬成虫の飛来は、落花期前後から見られることが多く、今年は越冬量が多い地域もあるので、例年発生の見られる園地では、この時期から注意して観察を行い、大量の飛来が確認された場合は、効果のある薬剤を特別散布して下さい。
(4)昨年秋期にハダニ類が多発した園地では、早期に発生することが考えられ、落花期に殺ダニ剤を散布する必要も出てきます。発生状況をよく確認して防除を検討しましょう。

ぶどう


1 生育状況
紫波町の定点観測地点で、「キャンベルアーリー」の発芽はまだ確認されていませんが(4月22日時点)、今後高温で推移すると一気に生育が進むことがありますので、早目の作業の準備を実施しましょう。
ぶどうは発芽以降、耐凍性が急激に低下しますので、場合によっては凍霜害防止対策が必要となりますので注意しましょう。防止対策はりんごに準じます。

2 管理の要点
(1)芽かき
本葉6~7枚期までは、主として前年の貯蔵養分でまかなわれているため、芽かきが早いほど養分の浪費が少なく経済的ですが、生育の様子を見ながら数回に分けて実施し、徐々に目標数に近づけるようにします(表7)。
なお、晩霜や強風の恐れのある場合は、仕上げ時期をある程度遅らせますが、遅すぎると新梢の生育が遅れ、房重も小さくなりますので注意しましょう。
長梢では、最初副芽を中心にかき、1節に1芽とします。その後混み合うところを中心に、枝の強さに合わせて数回芽かきをし、目標数に近づけて行きます。
短梢では、長梢と同様の手順で進めますが、腕枝が長くならないよう、通常は2芽のうち基部の芽を残します。
霜害のあった圃場では、芽かきを遅らせ、開花、結実を確認後、不要な枝を間引いていきます。



(2)新梢管理
誘引は、誘引可能な長さとなり、風害の危険が無くなった頃から開始しましょう。
(3)病害虫防除
発芽や開花などの生育ステージに合わせて防除を実施しますが、防除前には枝幹の粗皮や巻きひげ等の除去を行い、樹上の病害虫密度を下げておくと効率が上がります。



印刷はこちらから→kajyu02(PDF1MB)