◆ 大豆  今年の開花期は平年並~やや遅くなりました。現在は子実肥大期となっていますが、干ばつの影響を受けた圃場では生育量も小さく、着莢数も少なめです。
紫斑病とマメシンクイガの防除時期を迎えています。必ず薬剤散布を実施しましょう。

◆ 小麦  令和2年産小麦の栽培が始まります。収量確保のためには、越冬前に十分な生育量を確保することが必須です。生育量確保のために、排水対策を早めに実施し、播種は無理せず土壌条件が整ってから適期内に行いましょう。

大豆


1 生育概況
7月下旬~8月中旬にかけて気温が高く、降水量も少なかったことから、開花期は干ばつの影響を受けて、平年並~やや遅くなりました。
播種時期や生育初期に湿害を受け、生育量が小さいところ、逆に生育が旺盛で倒伏が見られるところなど、圃場間による生育差が大きくなっています。

2 病害虫の防除
マメシンクイガの防除適期は、県北部で8月第6半旬、県央・県南部で9月第1半旬となっています。また、紫斑病の防除適期は、若莢期(開花後20日頃)~子実肥大期(開花後40日頃)です。
薬剤は、莢によく付くように散布(生育が旺盛な場合は登録の範囲内で散布水量を増やす)しましょう。

3 手取り除草の実施
雑草は収穫時に汚損粒の原因となります。また、次作の発生源になりますので、大型雑草がある場合は種子をつける前に除草を行いましょう。

4 台風対策
台風の影響を受けやすい時期になります。土壌表面の排水を促進するため周囲溝や排水口等を点検・補修し、土壌表面水を速やかに排水する等、「農作物技術情報 号外 台風対策」を参照の上、必要な対策を取りましょう。

小麦


1 排水対策
水稲の収穫作業と小麦の播種作業が競合しないよう、計画的に播種準備等を行いましょう。
水稲の収穫後、小麦を作付けする圃場については、必要に応じてサブソイラによる弾丸暗渠の施工を行うとともに、地表水の速やかな排水を促すため、できるだけ早く額縁明渠を設置しましょう(写真1)。額縁明渠は必ず排水路につなげて下さい(写真2)。



明渠のうち圃場内小明渠(写真3)は、播種後に施工が可能です。小麦を潰してしまいますが、収量への影響はほとんどありません。
額縁明渠については、雑草が圃場内に侵入しないよう非選択性除草剤等を適切に用いる他、生育期間を通じてこまめに手入れを行いましょう。

2 土壌改良資材・堆肥散布
県内の水田転換畑は土壌の酸性化が進んでいる圃場が多く、低収の一因となっています。土壌診断を実施し、石灰資材の投入を行いましょう。なお、石灰資材投入の効果は施用後直ちに現れるものではありませんが、計画的な圃場利用の中で、積極的に施用することが重要です。

また、水田転換畑における麦作は、一般に適期作業を重視する観点から、堆肥等の有機物施用が困難な面があります(特に水稲収穫後直後の麦作など)。しかし、堆肥等の有機物には土を膨軟にする、根張りをよくする、施肥の効果を高める、などの利点があり、継続して施用すると化学肥料のみを使用した圃場より収量・品質が向上します。堆肥を施用する場合は、雑草種子の混入していないものを使用しましょう。

3 プラウ耕
水稲栽培では一般的にロータリ耕が行われますが、小麦栽培では深耕のためにプラウ耕が望ましいケースもあります。プラウ耕等を行う場合は、作土や耕盤の深さなどを調査し、不良な重粘土、やせた下層土が作土に混入することを避けるなど、土壌タイプを考慮し、事前に十分に検討してください。
なお、近年は砕土性に優れるアップカットロータリー(逆転耕)の利用も増えています。

4 砕土・整地
大きな土塊が圃場にある場合は、砕土・整地作業を十分に行う必要があります。土塊が多いと播種精度が落ち、発芽が劣るなどの問題が発生しますので、水稲から転換後1~2年は砕土・整地をできるだけ丁寧に行いましょう
特に砕土の良否は発芽に大きな影響を及ぼすため、一般的に地表部10cm層の砕土率(粒径2cm以下の土塊の割合)を70%以上にする必要があるとされています。

砕土作業は、ハロー耕(ツースハロー、ドライブハロー、バーチカルハロー)やロータリ耕が効率よく行えますが、作業時の土壌水分によっては砕土性が劣る場合があります。また、プラウ耕を行った場合、砕土作業はプラウ耕の方向に対して直角か45゜の角度で行い、砕土後は圃場を均平にするため整地します。

一般にロータリ耕のあとは土壌が水分を含みやすく、降雨があると乾きにくくなるため、播種直前に行うようにします。アップカットロータリを用いると、表層の砕土率が高く、下層は粗い二層構造の土壌を形成し、有機物の埋め込み性にも優れるため、その後の播種作業も楽に行うことができます。

5 適期播種と播種量、播種方法
播種期が遅くなると、年内に確保できる茎数が少なく、穂数不足による減収や、根張りが少ないため凍上害にあうことが多くなります。また、播種晩限を過ぎるほど減収程度が大きくなるので、適期播種に努めましょう(表1)。
小麦の分げつはイネほどではありませんが、一定の規則性をもって出現するとされています。多くの有効分げつを確保するために、越冬前の主茎の葉齢目標は4.5~5.0葉としましょう。

品種別の播種量・目標株立数は表2を基本とします。しかし播種が遅れた場合には、播種晩限から1週間遅れるごとに播種量を1割ずつ増やします。また、前作で萎縮病類が発生した圃場にやむをえず今年もナンブコムギを作付ける場合には、播種量は標準の3割増とし、100~120株/m2の株立数を目指しましょう。
なお、砕土が粗い、土壌が湿っているなどの条件下では苗立ち率が低下します。このような条件下で播種する場合、播種量を増やすなどの対策を行います。

播種深度は通常3~5cm程度を目標とします。播種深度が深すぎると、出芽のバラツキや出芽率の低下が問題になり、浅すぎると、凍上害や鳥害、干ばつ害、除草剤の薬害などが生じやすくなります。砕土の状況、土壌の乾湿(排水の良否)、播種量、播種後の天気予報などを総合的に勘案して播種深度を設定してください。

◎萎縮病対策
岩手県内全域で萎縮病類に汚染されている圃場が目立ちます。抵抗性の高い品種(ゆきちから等)の導入が有効です。ナンブコムギを作付けする場合は、発病圃場では安定した収量確保が難しいので、圃場の変更を検討しましょう。
萎縮病類は土壌伝染しますので、農業機械、農機具および作業者の靴の土壌をよく洗い、汚染土壌を他の圃場に持ち込まないようにしましょう。

6 除草剤処理
除草剤をよく効かせるためには、①散布のタイミングを逃さないこと、②砕土・整地を丁寧に行うこと、③適湿条件で散布すること、などが重要です。
過湿条件では薬害が発生する危険があるので散布を避けましょう。また、輪作や周囲の草刈りなど耕種的な防除を併せて実施し、総合的な雑草防除を行いましょう。

前年にイタリアンライグラスが多発した圃場では、耕起前(イタリアンライグラス出芽後)に非選択性茎葉処理剤を散布し、その後耕起・播種する方法が有効です。耕起前の非選択性茎葉処理剤を散布してから播種後の土壌処理剤を散布するまで、できるだけ早く(10日以内)行うようにすると効果的です。



 

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