◆ 牧草地 翌年の良質粗飼料確保を経済的に行うために、秋の草地管理を適切に実施しましょう。
 ◆ 子牛 外気温が下がってきました。防寒対策の準備をし、増体の維持を図るとともに、呼吸器疾病の発生を防止しましょう。

1 牧草地管理


(1)早春代替施肥としてのふん尿散布
堆肥施用は、早春の萌芽期の方が効果的といわれています。しかし、早春施肥の難しい地域では、晩秋に堆肥を散布することで春先の生育促進効果が得られます。
散布時には、翌年の減肥に向け、各圃場への散布量(肥料成分量)を概ね把握しておきましょう。散布後、堆肥の固まりが裸地を作るので、「パスチャーハロー」などで粉砕します。

(2)雑草対策
ギシギシ類への選択性除草剤の秋処理は、3番草の収穫後、葉の大きさが手のひら大に生育した時期に実施します。しかし、気温が低くなると葉面からの薬剤吸収が低下しますので、降霜後の防除は行わないようにします。

(3)石灰資材の追肥
経年草地には、pH5.5を下回らないように石灰施用が必要です。石灰の施用効果は、化学肥料施用などによる酸性化の抑制の他に、土壌微生物の繁殖、有機物の分解等による牧草の生育促進があげられます。酸性化等を抑制するために必要な石灰量は、年間約50kg/10aです。

2 子牛の防寒対策


(1)防寒対策の目的
防寒対策が不十分だと、「体温維持のため体を震わせたり、被毛を伸ばすことでエネルギーを余計に消費する」、「抵抗力が落ちるうえに冬場の乾燥とあいまって肺炎や風邪などの呼吸器系疾患にかかりやすくなる」などの状況に陥ります。子牛は、成牛と比較して皮下脂肪や筋肉が薄く、外気温の影響を受けやすいものです。生産性を落とさないためにも、防寒対策はしっかりと行いましょう。

(2) 防寒対策として気をつけること
牛体を濡らさないようにします。尿やこぼれた飲み水で身体が濡れていると、水分が蒸発する際に、気化熱として牛体から熱が奪われます。子牛の休息スペースに乾いた敷料を厚く敷くなどして対応します。水場や飼槽から少し離れた位置に休息スペースを設置することが大切です。
牛舎にすきま風が吹き込み、牛体に当たると熱が奪われます。できるだけ隙間を塞ぎ、風が入らないようにしましょう。
人工哺乳をしている場合は、ミルクの調製から給与までに温度が下がることを考慮して、少し温度の高い湯でミルクを作りましょう。
カーフジャケット、ネックウォーマーやカーボンヒーターの利用も効果的です。ただし、カーフジャケットは、着せっぱなしにせず、時々洗って干したりするなど、衛生的に保ちます。
牛舎の一角をコンパネなどで囲ったり、カーフハッチを設置したりすると、そのスペースに子牛が集まり、温度を確保できます。



(3)換気の重要性
防寒対策のあまり牛舎を閉めきり過ぎて換気が不十分になると、尿などから発生したアンモニアが牛舎内に溜まります。アンモニアは刺激の強い物質であり、牛が吸引すると気管支粘膜を刺激し、ダメージを与えます。気管支粘膜は外界と牛体内を仕切る最重要防衛ラインですが、粘膜が弱くなることでウイルスなどの病原体が牛体に侵入しやすくなり、風邪や肺炎などの呼吸器病にかかりやすくなります。防寒対策ですきま風を入れないようにしますが、朝方や暖かい時間帯をねらって一定時間換気を行い、牛舎からアンモニアを追い出しましょう。また、牛体を冷やさない程度に換気扇を低速で回転させることも有効です。

(4)飼料給与量の増加
どんなに防寒対策をしても、やはり冬季には体温維持に必要なエネルギー量は増加します。適切に飼料給与量を増やし、増体に必要なエネルギーをしっかり確保しましょう。子牛の場合、牛舎内温度が-4℃の場合、適温時と比較して維持にかかるエネルギーが32%増加するといった知見もあります。
寒冷期は、スターター給与で寒さに対する栄養を充足させることや、スターター摂取量、腹冷え防止に温湯給与が効果的です。

(5)観察→異常発見→対処を速やかに行いましょう
一旦呼吸器病が発生すると、瞬く間に同居牛に感染していきます。感染が広がると、治療の日々が続き、管理者の時間的、経済的、精神的な負担が増すだけでなく、増体が滞るなど、悪影響があります。早めの異常発見、治療がカギです。エサを食べに来ない子牛がいないか、元気がない、耳が垂れている子牛がいないか、鼻水をたらしている、鼻が乾いている、咳をしている子牛がいないか、しっかりと観察をしましょう。
もし、異常な牛を発見したら、できるだけその牛を隔離し、「熱を測ってみる」「獣医師を呼ぶ」などの対応をとりましょう。また、子牛が共用している餌槽、給水槽の1日1回の掃除も衛生対策として効果的ですし、踏み込み消毒槽を活用するなど、消毒を徹底しましょう。



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