県全体の出穂期は概ね平年並の8月4日頃と見込まれます。生育状況や気象変動に応じた栽培管理と病害虫の適期防除を心掛けてください。
◆良好な登熟が行われるよう、適切な水管理を行いましょう。
◆穂いもちの発生に注意が必要です。穂いもち予防粒剤を適期に散布するとともに、上位葉にいもち発生を確認したら直ちに茎葉散布による防除を実施しましょう。→ 令和2年度病害虫発生予察情報注意報第6号(県病害虫防除所 令和2年7月17日発行)
◆カメムシ類の多発が予想されます。穂揃期1週間後の薬剤防除を徹底しましょう。→ 令和2年度病害虫発生予察情報注意報第8号(県病害虫防除所 令和2年7月28日発行)

1 水稲の生育状況と出穂期の予測
7月第1半旬は気温・日照時間とも平年並~やや上回りましたが、同第2~3半旬は気温が低く、また日照時間も現在まで少なく推移しています(図1)。
1ヶ月予報(仙台管区気象台,7月23日発表)によると、向こう1か月の気温は低く、降水量は平年並か多く、日照時間は少ない見込みです。
県全体平均の幼穂形成期は、平年並の7月11日(平年差-1)となりましたが、その後も低温・日照不足が続いており、出穂期は概ね平年並の8月4日頃(平年差+1)と見込まれます(表1)。水稲の生育ステージをよく観察して、適期管理に努めてください。







2 登熟を低下させない水管理
気象の変化に的確に対応し、登熟を低下させない水管理を心掛けましょう。
(1)出穂・開花期の水管理
この時期は生育の速度が早く、大量の水を必要とします。過乾燥は、穂の出すくみや開花・受
精障害による不稔発生を招くこともあるため、湛水管理(浅水でよい)を基本とします。
(2)登熟期の水管理
ア 基本管理
・ 間断かんがいとします。
登熟前半の20日間は湛水3~4日→落水1~2日、後半は湛水2~3日入水→落水3~4日とするなど、徐々に落水期間を長くしていきます。
・ 間断かんがい中の管理の目安
湛水時・・・水深3cm程度
落水時・・・滞水部が消失し、土の湿り気を目視及び触れて確認できる程度まで。
(白化・亀裂をみるほどの過乾燥はしない)
イ 気温の高い日が続く場合(特に登熟前半、おおむね日中30℃以上、夜間23℃以上の日)
・ 穂揃い後、登熟初期にかけて気温が30℃以上で夜温も高い場合は、水稲の登熟不良や玄米品質の低下(白未熟粒の発生)を招く恐れがあります。
・ 高温時の水管理も間断かんがいを基本としますが、水の入替頻度を高めて、水温・地温を下げるとともに、根に酸素を与えて活力維持をはかります。
・ 入水は、夜間に行います(水尻を止めて夕方から朝まで入水→その後、自然減水)。
→ 地表温の日格差が大きくなり、品質低下の抑制等の効果が期待できます。
・ ヒタヒタ水程度の浅水での常時湛水管理は、根腐れや稲体の消耗をまねき、スムーズな登熟を阻害するので避けてください。
ウ 落水時期
・ 落水時期の目安は、排水良好な水田で出穂後35~40日、排水不良田で30~35日です。
・ 近年、登熟期間の早い段階から落水し、田面を乾燥させている圃場が増えています。極端な早期落水は腹白粒増加や千粒重低下、胴割粒発生の原因となるので避けてください。
・ なお、本年は曇雨天による中干し不足で、機械収穫に必要な地耐力が不足することも予想されます。このような場合は、乾かしすぎに注意しつつ、間断かんがいの落水頻度や期間を適宜増やして対応してください。→過乾燥に注意
・ また、出穂の遅れなどにより、登熟の早い段階で用水の利用期間が終了する場合も、乾かしすぎに注意し、落水の目安時期まで水尻は閉じたままとしてください。

3 病害虫防除対策
(1)斑点米カメムシ類(斑点米の原因となるカスミカメムシ類)
斑点米カメムシ類の発生時期(加害時期)は「並」・発生量は「多」と予想されます。
〔令和2年度病害虫発生予察情報 注意報第8号(県病害虫防除所 令和2年7月28日発行)〕
ア 薬剤防除
水田周辺に牧草地などの斑点米カメムシ類の発生源がある場合や、例年斑点米の発生が多い場合は、畦畔を含めて薬剤防除を行ってください。また、本田内で増殖源となるノビエ・イヌホタルイ・シズイ等の残草が多い場合は追加防除も検討してください。
(ア)粉剤・乳剤を使用する場合
◆ 基本防除・・・・穂揃期1週間後に1回防除
◆ 多発条件・・・・穂揃期1週間後と穂揃期2週間後の2回防除
・水田付近に出穂開花中のイネ科植物(特にイタリアンライグラス)を含んだ牧草地、雑草の繁茂地等があり、斑点米カメムシ類の発生密度が高いところ。
・水田内にノビエ、イヌホタルイ、シズイなどの雑草が多発しているところ。
・割れ籾の多い品種(あきたこまち等)。
(イ)粒剤を使用する場合(※斑点米カメムシ類の発生密度や水田雑草が多い水田では使用しない)
◆ 穂揃期~穂揃期1週間後
・湛水状態で均一に散布し、4~5日間は湛水状態を保ち落水やかけ流しはしない。
イ 耕種的防除
水稲出穂期以降に畦畔の草刈りを行う場合は、穂揃い1週間後の薬剤散布後、おおむね1週間以内(残効期間内)に行ってください。

【穂揃い7日後とは】
・穂の先端が止葉葉鞘の先端を押し開き、少しでも抽出した状態を“出穂”といいます。
・水田内で写真1のような茎が概ね40~50%見られる状態を「出穂期(盛期)」、80~90%見られる状態を「穂揃期」といいます。
・通常、「出穂期」から「穂揃期」までは2~3日程度かかりますので、「穂揃い7日後」とは出穂期から概ね10日後です。



★ミツバチへの危害防止対策★
養蜂活動が行われている地域で殺虫剤を散布する場合は、養蜂家と協議のうえ、散布時期を事前に知らせるなど、ミツバチへの危害防止を徹底してください。水田周辺にミツバチの巣箱がある時は、巣箱を安全な場所に移動してもらってから薬剤散布を行ってください。薬剤散布する際は、農薬容器のラベルをよく読み、周辺への飛散防止に努めましょう。

(2)穂いもち
穂いもちの発生量は「やや多」と予想されます。
〔令和2年度病害虫発生予察情報 注意報第6号(県病害虫防除所 令和2年7月17日発行)〕
6月中旬以降、いもち病の感染好適条件が繰り返し発生しており、また稲体も葉色が濃く、折からの日照不足も相まって、いもち病への感受性が高まっていることも予想されます。
県内ではすでに葉いもちの発生が確認されており(写真2)、今後、広域的な発生に発展する可能性もあることから、圃場のこまめな観察により、早期発見に努めてください。
ア 穂いもち予防粒剤を使用した場合
上位葉(止葉を含む上位3枚)で葉いもちが多発している圃場や、出穂後に降雨が続いたり、低温等で出穂期間が長引く場合には、出穂直前~穂揃い1週間後まで7~10日間隔で茎葉散布による追加防除を実施します。
イ 茎葉散布する場合(穂いもち予防粒剤を使用していない場合)
出穂直前および穂揃期の2回防除を徹底します。
なお、葉いもち多発時や低温等で出穂から登熟期間が長引く場合は、出穂直前~穂揃い1週間後まで7~10日間隔で追加防除を実施します。



4 異品種混入の防止対策
現在、解析技術の向上により一粒の米からでも品種の判定ができます。
異品種が混入すると、品種名の表示ができず、JAS法表示違反となり産地全体のイメージダウンを招きます。産地の信頼確保のためにも異品種の混入を防ぎます。
(1)出穂期間中の防止対策
出穂が極端に早い、遅い株は異品種の恐れがあります。株ごと抜き取ってください。
(2)収穫、乾燥、調製時の防止対策
機械や施設内には、前年に収穫した籾等が残っている場合があります。収穫が始まるまでに、余裕を持って機械や施設の点検・清掃を行ってください。

5 直播栽培(鉄コーティング湛水直播栽培)の本田管理
直播栽培の出芽後の本田管理作業は、基本的には移植栽培に準じますが、出穂期や成熟期などの生育ステージが移植栽培より10日~2週間程度遅くなるため、圃場を十分観察し、今後は、病害虫の発生(特にいもち病・斑点米カメムシ類)に注意します。



 

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