◆ 台風対策    排水対策と施設の保守点検を万全に
◆ 露地きゅうり  重要病害に対する防除の徹底、次年度へ向けた対策実施
◆ 雨よけトマト  保温等による裂果防止、早朝換気によるゴーストスポット発生防止
◆ ほうれんそう  適切な温度管理と病害虫防除の徹底
      適期播種と適切な温度管理による品質向上(寒締めほうれんそう)

1 生育概況
(1)露地きゅうりは成り疲れや気温低下による影響と、べと病や炭疽病、褐斑病等の病害の発生により、収穫終了となる圃場が増えています。
(2)雨よけトマトは裂果が発生しはじめています。病害虫ではうどんこ病、灰色かび病、葉かび病やオオタバコガなどが発生し、果実表面に発生するゴーストスポットも散見されています。
(3)ピーマンは9月上旬の高温経過により、日焼け果や尻腐果の発生が見られます。また、赤果ひび割れ果の発生もみられるようになりました。病害虫では、斑点病とアブラムシ類、タバコガの発生が多く見られています。
(4)雨よけほうれんそうは、高温による生育の停滞から回復した状況です。害虫は、シロオビノメイガ、ヨトウムシの発生が多い傾向で、一部でケナガコナダニ類の被害が散見されています。病気は、白斑病が一部の圃場で見られています。
(5)ねぎは、順次収穫が進んでいますが、病害虫の発生が多く、病害では葉枯病(黒斑病)の発生が多く、さび病、軟腐病の発生もみられます。害虫ではネギハモグリバエやネギアザミウマの発生が目立ちます。
(6)キャベツは概ね順調に生育しており、7月の定植遅れの影響がありましたが回復傾向となっています。レタスの定植は終了し、概ね順調に生育しています。病害虫は、キャベツでべと病やタマナギンウワバの被害が見られ、レタスでは腐敗病、べと病、タバコガ類の発生が見られます。
 
2 技術対策
(1)台風対策
例年10月は台風の発生が多い時期となりますので、今後とも気象情報を確認し状況に応じて排水対策、施設の保守点検など、事前事後対策を徹底してください。

◎ 事前対策
 パイプハウスの点検・補強
被覆資材の破損箇所を補修します。
パッカーやスプリング等固定部品を点検します。
ハウスバンドの増し締めや増設により、被覆資材の締め付けを補強します。
 骨組みの強度の弱いところは、筋かいを入れて補強します。
 飛来物による被覆資材の損傷を防ぐため、ハウス周辺の片付けや清掃を行います。
 風が強まってきたら、入口、サイド、天窓、妻窓を完全に閉め、入口は飛ばされないようしっかりと固定します。
 施設を閉め切ることで、湿度が上昇して病害が発生しやすくなりますので、循環扇等で空気を撹拌して予防に努めます。
 換気扇が設置されている場合は、強風時にハウス内の気圧を下げるために稼動します。風が弱まったら直ちに停止します。
 大雨に備え、排水溝の整備・点検を行います。
 露地圃場やハウス周囲に防風ネットを設置している場合、緩んでいるワイヤーや針金を張り直し、ネットの破れている部分は補修します。
 露地圃場では強風で支柱が抜けたり、倒伏したりする恐れがありますので、畦の両端や畦の所々を補強し、支柱の倒伏・倒壊、株の倒伏を防ぎましょう。
 支柱・ネット等への茎や枝の誘引状況を点検し、しっかり固定します。
 被害が予想される場合、収穫可能なものはできるだけ事前に収穫を終えます。

◎ 事後対策
ア 排水対策等
圃場にたまった水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら畦間の中耕を行って土壌中に空気を送り、根の活性化に努めます。
イ 殺菌剤散布・葉面散布
台風通過後は、冠水や多湿、茎葉の損傷等により病気にかかりやすくなっていますので、品目ごとの農薬の使用基準に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を未然に防止します。
茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機により水をかけて洗い流した後、殺菌剤を散布します。
強風等で傷んだ茎葉や果実を摘除するとともに、必要に応じて液肥を薄い倍率で施用または葉面散布し、草勢回復を促進します。

(2)施設果菜類
ア トマト
裂果が増加してきますので、①夜間の保温により急激な気温低下及び14℃以下の低温を防ぐ、②定期的なかん水により急激な吸水を防ぐ(早朝に葉露がついている場合はかん水不要)等の対策を実施してください。また、果実表面の結露はゴーストスポットや裂果の発生を助長するため、早朝にハウスサイドを開放し、外気と施設内の気温差がなくなるように管理し、果実表面への結露を防止します。
病害では草勢低下や湿度上昇により、葉かび病や灰色かび病が発生しやすくなるので、防除を徹底してください。
イ ピーマン
雨よけ栽培では、夜間の保温により生育温度の確保に努めますが、夜間湿度の上昇に伴い灰色かび病の発生が懸念されるので、防除を徹底します。
全体的に赤果や黒変果、ひび割れ果の発生が増えています。特に下垂している枝に着生している果実は早めに除去し、草勢維持に努めてください。

(3)露地果菜類
ア きゅうり
気温が低下していることから強い摘心は控え、アーチから飛び出した弱い芯を指先で摘む程度に止めます。摘葉は病葉・古葉・黄化葉等を中心に行い、草勢維持を図ってください。
毎年9月以降、べと病や炭疽病、褐斑病等の蔓延により枯れ上がる圃場が見られています。多発圃場では、収穫残さや支柱、番線、潅水チューブなどに付着した病原菌が翌年の発生源となりますので、栽培終了後は速やかに残さの片づけや資材の消毒を実施します。
また、本年度、株が急に萎れる症状が見られた圃場では、収穫終了後速やかに根を掘り上げて、キュウリホモプシス根腐病の感染がないか確認してください(写真1)。疑わしい症状が見られた場合や、次年度の作付けに不安がある場合は、最寄りの指導機関に連絡し、残さ診断を受けることをお勧めします。
今年萎れが見られていない圃場においても、被害リスクの早期把握のため、残さ診断を積極的に行い次作に備えます。
イ ピーマン
露地栽培では、斑点病の発生と腐敗果が増加する恐れがありますので、降雨前後に殺菌剤を散布して発生低減を図りましょう。腐敗果は、収穫作業やタバコガ、強風などにより傷つき、その傷口が腐敗すると考えられています。雨天時の収穫作業は控えること、出荷時は果実が乾いた状態とし、腐敗がないか選別を徹底してください。

(4)雨よけほうれんそう
年内に収穫するため、もう1作播種することを検討します。低温伸長性の良い品種を選択し、ハウスの開け閉め等による温度管理を適切に行い、年内に確実に収穫できるようにします。
ハウスを閉める時間が長くなると、べと病の発生が多くなります。べと病抵抗性品種を利用している場合でも、日中は積極的に換気を行い、べと病を発生させない条件にしながら、殺菌剤の予防散布も行ってください。
また、ホウレンソウケナガコナダニによる被害が多くなる時期です。近年は夏期に被害が見られる圃場もあり、発生が周年化しています。今年作で被害があった圃場では、早期に殺虫剤の散布を行いましょう。農薬散布は薬液が芯葉まで届くように丁寧に行ってください。また、アブラムシ類の発生やシロオビノメイガの食害が見られます。アブラムシ類は効果の高い薬剤で防除します。シロオビノメイガの幼虫は最初、芯葉の隙間に入り込んでいるため見つかりにくいので、注意して観察し、防除が遅れないようにしてください(写真2)。
萎ちょう病等の土壌病害が多く発生した圃場では、次年度の対策を実施します。初夏に土壌消毒を行う従来の方法以外に、作付終了後の晩秋に土壌消毒を行う方法や、転炉スラグ施用による土壌管理技術があります。具体的な方法については、最寄りの普及センター等にご相談ください。
作付け終了後は、来年の施肥管理を適正に行うため、土壌診断を受けてください。

(5)露地葉茎根菜類
ア ねぎ
最終土寄せから収穫までの日数が長くなると、品質低下につながります。10月収穫は収穫の30日前を目安に、軟白部の伸長肥大を確認しながら、気象情報等を参考にして計画的に作業を行います。
また、収穫間際の病害虫発生も、品質低下につながります。早めの防除を心がけ、農薬散布は収穫前日数に注意して適正に行います。
イ キャベツ・レタス
県北高冷地の収穫は終盤です。作付け終了後のマルチ、残さの処理を適切に行います。病害により収穫できなかったものは早めに処理して、被害が蔓延しないように注意してください。
また、来年に向けて土壌診断の実施や堆肥の施用等による土づくりを行ってください。

(6)冬春野菜
ア 寒締めほうれんそう
ハウス栽培では9月下旬から10月中旬までが播種時期です。県内の各地域によって気象条件が異なるので、品種の特性に合わせ適期に播種し、次のことに留意して管理します。
過剰な保温により生育が進むと、寒締めを行う前に収穫サイズに達してしまいます。一方、温度が低すぎると生育が大幅に遅れ、収穫期が遅くなりすぎてしまいます。本県の寒締めほうれんそうの出荷期間は12月~翌2月が基本ですので、ほうれんそうの生育状況に応じて、適切な温度管理を行ってください。詳しくは岩手県農業研究センター平成17年度試験研究成果「寒締めほうれんそうの作期判定と生育調節技術」を参照してください。
冬期間は、大雪の影響でパイプハウスが倒壊する場合もあります。寒締めほうれんそうを作付けするハウスは1棟おきにして、作付けしないハウスはビニールを外す等、除雪しやすい環境を整えておくとともに、雪の重みに耐えられるよう補強用支柱や番線、筋交いを設置する等の対策を講じ、ハウスを守ります。
イ 促成アスパラガス
気温の低下とともに、地下部への養分転流が進む時期です。台風による倒伏等で、茎葉が傷まないようにします。
また、根株の無理な早掘りは収量の低下につながりますので、5℃以下の低温遭遇時間を参考にする等、適期の掘り上げを心がけてください。詳しくは岩手県農業研究センター平成18年度試験研究成果「アスパラガス年内どり作型における1年養成根株の掘り取り時期」を参照してください。

 



 

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