◆ 大豆  圃場観察をこまめに行い、成熟状況の確認、青立ち株や雑草の抜き取り、圃場排水の徹底など、収穫作業に向けた準備をすすめましょう。
◆ 小麦  小麦の播種適期を迎えています。適期を逃さず作業を行い、生育量の確保に努めましょう。条件が整わず播種が遅れた圃場では、播種量を増やし、目標株立数の確保に努めましょう。

大豆


1 生育の状況
開花後の好天により、生育量も回復し、子実の登熟は順調です。しかし、葉色が濃い圃場が多いことから、蛾の幼虫による葉の食害が目立ちました。また、強い雨に打たれ、倒伏したり、大型雑草が見られる圃場もあります。今後も台風等の気象災害に備え、スムーズに収穫作業に入れるよう、雑草の抜き取りを行い、排水対策をもう一度確認してください。

2 収穫作業の前に
(1)台風対策
この時期は台風が発生しやすいので、気象情報を確認し、状況に応じて排水対策、施設の保守点検など、事前事後対策を徹底してください。
(2)シストセンチュウ被害の確認
収穫前に圃場を観察し、湿害生育不良株(地上部が退緑、黄化等)が部分的に局在し、畦に沿って広がっていないかなどを確認します。湿害を受けていないにも関わらず、このような症状が見られる場合はシストセンチュウの可能性があります(写真1)。株を引き抜いてみて、シスト(卵の詰まった殻:写真2)の有無を確認してください。発生が確認された場合は、汚染土壌の拡散を防止するため農業機械等の洗浄を徹底するとともに、汚染程度の高い圃場の収穫は後に回します。





(3)除草
アメリカセンダングサ、シロザ、ヨウシュヤマゴボウなどの大型雑草は、収穫時に汚損粒の発生原因となるので、収穫前に取り除きます。また、イチビなどは種子発生量が極めて多いので確実に搬出してください。
(4)コンバインの清掃・調整
収穫作業の前には必ず清掃点検を実施し、作業に支障が出ないか確認しておきます。
また、土をかみ込んだ時など、収穫作業中でもコンバインの清掃が必要となることがあるので、清掃のポイントを把握し、効率的に行えるようにしておきます。
(5)乾燥・調製施設の確認
乾燥・調製施設を利用する場合には、その稼働計画について確認し、圃場の様子を踏まえた上で、刈取りの順番、収穫機械やオペレーターの確保等、準備をすすめておきます。

3 収穫
(1)成熟期の判断
適期収穫の第一歩は、成熟期を正確に判定することです。成熟期は次の2つから判断します。
ア 圃場のほとんどの株で、大部分の莢が熟色になっている
イ 莢の中の子実が乾燥子実の形になっている
莢を振ってカラカラ音がするようになったら、数カ所で実際に莢をむいて確認します。
成熟期を確認したら、表1を参考に収穫作業に入ります。



(2)コンバイン収穫のポイント
ア 収穫時の茎水分は50%以下
茎水分が50%を超えると、こぎ胴で茎が揉まれ茎汁が発生し、汚損粒の発生原因となります。
このため、青立ちした株は必ず抜き取ってください。茎水分50%以下の目安は、分枝が手でポキポキと折れるときです。
イ 収穫時の子実水分は18%以下
収穫時の子実水分は、損傷粒の発生に大きく影響します。子実水分が20%以上と高すぎる場合は、つぶれ粒を主体とする損傷粒が多くなり、15%以下と低すぎる場合は、裂傷や割れ豆などが多くなる傾向があります。
ウ 収穫の時間帯は茎葉がよく乾いた頃
晴れた日の場合、午前10時過ぎ~午後5時頃までが目安です。

4 乾燥
(1)乾燥
子実水分が高いものを急速に乾燥させると、裂皮粒やしわ粒発生の原因となります。子実水分を均一に低下させるよう、送風温度等に留意します。
(2)被害粒発生のしくみ
被害粒のうち、裂皮粒(皮切れ粒、写真3)は、収穫前に、大豆の生理的な要因で種皮が部分的に裂けて生じるもの(例:莢数不足あるいは刈遅れによる過熟が発生)と、高温通風など乾燥調製時の急激な乾燥によって生じるものに大別されます。
しわ粒は、子実のへその反対側の子葉組織と種皮がギザギザになる「ちりめんじわ(写真4)」と、種皮が吸湿により亀甲状に隆起する「亀甲じわ(写真5)」に大別されます。
「ちりめんじわ」は主に、生育後半の栄養凋落が激しいほど発生しやすく、この時期の栄養状態の改善が対策となります。
「亀甲じわ」は子実形成から収穫期前後までの乾燥・吸湿の過程で、皮と子実の収縮・伸長の繰り返しが原因で生じますので、刈遅れを避けることが対策につながります。



5 その他
(1)紫斑病対策
成熟期以降、刈取りが遅れると紫斑粒が増加しますので、刈遅れを避けることが重要です。
また、ビーンカッターや手刈りで収穫した場合、速やかに脱穀・乾燥を行います。島立てやハウス乾燥中の刈株も、朝露や湿気などにより紫斑粒が徐々に増加することが知られています。

小麦


1 小麦の播種適期
小麦の安定多収の実現のためには、越冬前に十分な分げつを確保しなければなりませんが、例年、播種が遅れて生育量が足りないまま越冬する小麦圃場が多く見受けられます。
小麦も稲と同様に、主茎の葉齢によって発生する分げつ数が決まっています。越冬前の主茎葉齢は4葉以上、分げつは1~2本を確保することを目標にします。地帯別の播種適期を表2にまとめました。適期を逃さず播種作業を行い、越冬前に生育量を確保してください。
また、春期に降水量が少なく、干ばつ状況となる場合があります。干ばつ被害を軽減させるためには、根張りをよくすることが重要です。根張りを良好にする方法として、①晩播を避ける、②浅播きを避ける、③過湿条件で播種を行わない、④深耕する、⑤有機物を施用する、⑥踏圧を適切に行う、などが挙げられます。
ナンブコムギは、縞萎縮病に弱いため、例年縞萎縮病の発病が見られる圃場で作付けをした場合、播種後30~40日後の気温が高く、降水量が多いと翌春の発病程度が高まり、減収します。このような圃場でやむを得ず連作をする場合には、適期内でできるだけ晩播とすることが被害軽減に有効です。しかし、適期を過ぎた晩播は根張りが劣り、湿害や干ばつ害を受けやすくなりますので注意してください。

2 もしも適期を逃したら・・・播種時期が遅れたときの考え方
(1)播種適期を守るのが基本ですが、圃場条件が悪い場合、無理に播種しても出芽不良を招きますので、その場合は作業を見合わせます。
(2)適期が過ぎてしまった場合は、各地帯の播種晩限から1週間遅れるごとに10%播種量を増やし、目標株立数を確保できるよう努めます(表3)。



3 基肥
麦類の施肥は、追肥の占める割合が高く、基肥は越冬前の生育量を確保するために施用します。
表4に、麦類の標準的な基肥施肥量を示しました。



(1)補給型施肥基準
表4とは別に、土壌改良目標値を満たした圃場での施肥管理は、「補給型施肥基準」を適用することができます。補給型施肥とは、「圃場からの収穫物による肥料分の持ち出し量」と浸透水による「土壌養分の溶脱量」を施肥によって補給する、という考え方を基に作られた施肥法です。詳しくは最寄りの農業改良普及センターにお問い合わせください。
 
4 雑草防除
  播種後は、必ず除草剤を散布します。草種にあわせた除草剤を選び、ラベルを確認して散布時期や使用量を決定します。

5 排水対策を万全に
圃場内の明渠は、播種後に施工することも可能です。十分な準備ができない場合、播種後の施工も想定しておいてください。

 

 

 



 

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