◆ りんごの結実は、概ね平年並の着果量を確保していますが、品種によっては中心果の結実率がやや低い地域も見られますので、仕上げ摘果は慎重に果実を見定めて行い、また隔年結果防止のため早期適正着果に努めましょう!
◆ ぶどうは、結実を確認のうえ、状況に応じた適切な摘房、摘粒を進めましょう。

りんご


1 生育概況について
(1)結実の状況
県内定点観測の結実調査結果を県平均で見ると、「つがる」の結実率は平年並以上を確保していますが、「ふじ」「ジョナゴールド」では花数・花そう結実率はほぼ平年並ですが、中心果結実率が平年を10%近く下回っています(表1)。この中心果結実率は地域差が大きく、その要因として凍霜害の影響が大きいと考えられ、また開花期間中の降雨の影響もあると推察されます。
なお今年産「ふじ」の県平均の花芽率は77%と平年よりやや高めであり、今回調査した花そう結実率の県平均は93%なので、概ね平年並の作柄は確保できたと考えられます。
しかし、中心果結実率のバラツキが大きいため、中心果のみで着果量を確保するのが困難な場合もあり、さらに凍霜害の影響でサビ果や変形果の発生が予想されますので、良質果を収穫するために摘果の吟味が重要です。



(2)果実の生育状況
果実生育(横径)は、6月21日時点では平年比106~112%、また初期生育が旺盛であった昨年と比較しても98~99%と、おおむね順調に生育しています(表2)。凍霜害の影響でサビ果や変形果の発生もみられますので良質な果実を見極めつつ、花芽形成と果実肥大を促すため、早期に適正着果数となるよう摘果に努めてください。



2 栽培管理のポイントについて
7月に入ると、りんごは翌年の花芽分化が始まります。着果過多や日照不足、高温乾燥などが花芽形成を阻害する要因になりますので、①早期の適正着果数への摘果②徒長枝の整理などによる日照条件の改善③防除による健全な葉の維持④適正な土壌水分管理に努めましょう。
(1)早期摘果のすすめ
りんごの果実は、摘果作業が遅れると小玉果となる可能性が高くなります。表3の摘果強度を参考に、仕上げ摘果および着果量の見直しを進めてください。結実量にばらつきはみられますが、次年度のためにも計画的に摘果を進めましょう。
(2)摘果のポイント
 三角実や扁平果など果形の悪い果実、病虫害果、サビなどの傷害果は摘果します。傷害果が多発し、正常果で適正着果数を確保できない場合は、傷害果もある程度残します。
 「ふじ」で果台が極端に長いもの(25mm以上)や短いもの(10mm以下)は、斜形果の発生割合が高くなるので、できるだけ摘果します(図1)。
 「ふじ」では、途中で肥大の止まる果実が出てくるので、随時見直しを行います。



(3)「紅いわて」の着果基準について
本県育成のりんご「紅いわて」は、9月下旬に成熟する着色良好な赤色品種で、植栽面積も年々増加傾向にありますが、着果量の違いによる果実品質や翌年花芽率への影響については不明な点もありました。
平成29年度岩手県農業研究センターの試験研究成果において、「紅いわて」は摘果程度を1果/5頂芽とすることで、1果重300~350gの果実が多くなり、花芽が安定して確保できる、との基準が示されましたので、「紅いわて」の着果基準の参考としてください。
なお留意事項として、荒摘果が遅れると翌年の花芽に影響が出る可能性があるため遅れずに実施することと、本基準は成木における着果基準であり、若木では果実が大きくなる傾向が見られるため、摘果時期等で調整するようにしてください。
(4)土壌水分管理について
りんごの樹体にとって、土壌水分を適正に管理することが果実肥大、花芽の確保など健全な樹体の維持に有効です。
ア 乾燥対策
今後、高温、干ばつで経過する場合は、養水分の競合を避けるため草生を短く維持し、樹冠下に刈草やわら等でマルチします。また、畑地かんがい施設の整備が進められている地域では、適宜潅水を実施します。特に今年定植した苗木や幼木は根量が少なく、乾燥の影響を受けやすいため、優先して灌水を実施してください。
イ 排水対策
降雨が続き、園地内が過湿となる場合、根部が障害を受けて樹勢が衰弱することがありますので、園地内に滞水しないよう、溝を掘るなど排水対策を講じましょう。

3 病害虫防除について
(1)梅雨に入って降雨が続くようになると、斑点落葉病や褐斑病、輪紋病、炭疽病等の感染が増えてきます。また、気温も高くなりハダニ類などの害虫も発生してきます。週間天気予報などを活用して降雨の合間を捉え、散布間隔が空き過ぎないように防除を実施してください。
(2)6月12日付けで病害虫防除所から褐斑病の防除速報が発表され、前年多発園において、早期に初発生が確認されました。6月前半時点で褐斑病の初発生が確認されたのは、過去10 年間で最も早いため、特にも前年多発園では、防除速報や予察情報を参考に防除を徹底しましょう 。
(3)黒星病については、他病害との同時防除を兼ねて、本病に効果のある予防剤を定期的に散布してください。その際には散布ムラがないように十分な薬液量を丁寧に散布しましょう。また降雨が予想される場合は、降雨前に散布を行ってください。そして園地を見回り、発生が確認された場合は見つけ次第、発病葉や発病果を摘み取り、土中に埋めるなど適正に処分してください。苗木など未結果樹での発生にも注意し、成木と同様に薬剤防除を徹底しましょう。

ぶどう


1 生育概況について
定点観測地点(紫波町)の「キャンベルアーリー」の調査結果では(表4)、発芽・展葉期はほぼ平年並でしたが、5月中下旬の記録的な高温で生育も大幅に促進され、開花始めで6月5日と平年より9日、満開期でも平年より10日早まり、平成27年に次いで観測史上2番目に早い開花となりました。なお6月15日現在の新梢生育は概ね順調です。



2 栽培管理のポイント
(1)摘粒(詳細は5月31日発行の「農作物技術情報第3号 果樹」を参照)
 果粒肥大を促すとともに、裂果や病害の誘発防止、着色向上といった品質確保に必要不可欠な作業です。
満開後30日以内の終了を目標としますので、今年は7月中旬までに実施しましょう
(2)袋掛け
 時期は7月上旬以降できるだけ早い時期が良く、摘粒などが遅れる場合には、晩腐病の一次感染期を逃さずに防除し、その後、袋かけを行うことが大切です。
(3)摘房
 「キャンベルアーリー」では、表5を参考とし、葉数に応じて着房数を決定してください。最終的には一坪(3.3㎡)当たり、新梢数20本、着房数27~30房が基準となります。樹勢が弱い場合は、1房当たりに必要な葉数を参照に、葉数に応じて着房数を制限して下さい。
 「紅伊豆」「シャインマスカット」などの大粒種では、1新梢1房以下が基本です。ただし、種あり栽培とする場合は、一気に摘房せず、強い新梢は、1新梢2房着果させておき、着色期前までに1房に摘房していきます。弱い新梢は、早期に1新梢1房とし、同様に着色期をめどに、伸長の程度に合わせて2~3新梢1房に調整していきます(表6、図2)。
 着色期以降も着果が多いままだと、着色や糖度上昇が遅れ収穫自体も遅れるなど、樹体の凍寒害の危険につながりますので十分に注意してください。





(4)土壌水分管理
ぶどうの果粒が柔らかくなってきた時期以降に、まとまった降雨があったり、急激な潅水を実施すると裂果が助長されることがあります。
こうした園地では、点滴潅水等により少量の水を定期的に潅水することで裂果の発生を軽減できるといった報告がありますので、必要に応じて実施を検討してみてください。
潅水が実施できない園地では、稲わらなどを用いて、マルチを行いましょう。
逆に降雨が続く場合は、雨よけハウスでは、雨樋等を点検し、園地内に水が停滞しないよう、溝を掘るなど排水対策を講じましょう。

3 病害虫防除について
(1)病害虫の発生状況に合わせて適期防除に努めてください。
(2)薬剤によっては、果粉の溶脱、果面の汚れなど品質を損ねることがありますので、使用方法・時期などに注意してください。



印刷はこちらから→kajyu04(PDF281KB)