①リンゴ褐斑病の多発要因について、過去22 年間(平成7~28 年)の巡回調査データを用いて多変量解析を行った結果、8月の早期発生が主たる要因であると考えられた。
②平成29 年に早期発生が広域でみられた原因は、一次感染開始時期が極端に早まったことにより、防除のタイミングとズレが生じたためと考えられた。
③秋期の広域的な発生を予察するためには、8月の早期発生の兆候を把握する。

1 背景とねらい
リンゴ褐斑病は秋期に黄変落葉し果実品質に影響する病害である。平成29 年は7月後半から複数園地で早期発生がみられ、秋期の発生園地率は過去10 年で最も高かった(図1)。
そこで、過去の発生予察調査の結果を用いて、秋期の広域的な発生と関連のある要因を解析するとともに、早期発生の原因を検討し、本病の発生予察法の改善に資する。



2 褐斑病の多発要因の解析
過去22 年間(平成7~28 年)の多変量解析の結果、秋期の広域的な発生(9月後半の発生園 地率30%以上)と各要因(表1)との関連は以下のとおりであった。
(1) 8月(前半)の早期発生が主たる要因である(図2左)。
(2) 上記の早期発生がみられなくても、平成20・25 年のように夏期の強い降雨(日降水量10mm以上)が極端に多い場合は強い関連がみられる(図2右)。



3 早期発生の原因
(1)一般園地で早期発生がみられる年は、基準圃場(北上市、無防除樹)での一次感染開始時期や初発時期も早まる傾向にある。一次感染開始時期と初発時期は、例年5月5~6半旬と6月3半旬であるが、平成29 年はそれぞれ5月3半旬と5月6半旬と極端に早かった(表2)。
(2)平成29 年8月から早期発生が広域でみられた原因は、一次感染開始時期が平年より極端に早まったことにより、防除のタイミングとズレが生じたためと考えられた(図3)。



4 発生予察法の改善
(1) 秋期の広域的な発生を予察するためには、8月の早期発生の兆候を把握することを主眼とし、以下の項目を調査する。
① 基準圃場での初発時期:発病調査は目通りの全果叢葉および新梢基部葉を対象とする。本病の初期病斑は、斑点落葉病と類似しているが、病斑内部に小黒点(分生子層)が存在することを確認する(図4)。
② 巡回調査園地での初発時期:7月後半から本病の早期発生を注視する。
(2)上記調査の結果、基準圃場での初発時期が早い年や複数の一般園地で早期発生が確認される年、また夏期の強い降雨日が極端に多い年は、本病の広域発生を警戒する必要がある。



5 参考文献
(1)猫塚修一(2018)リンゴ褐斑病の感染開始時期の推定 日植病報84

 

詳細は、以下のPDFファイルでご確認ください。

リンゴ褐斑病の多発要因の解析と発生予察法の改善

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