① リンゴ黒星病の近年の感染好適日は、開花期よりも極端に早く出現している。
② 平成30年の発生要因は、展葉期~開花前の早期感染および5月中旬の連続降雨による二次伝染である。


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近年に置けるリンゴ黒星病の発生要因

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1 背景
 リンゴ黒星病は、平成初期まで県北部や県中部を中心に広域的な発生がみられていたが、昭和62年に登場したEBI剤の開花期散布の普及により、平成11年以降は多発する園地はみられなくなった。
 しかし、平成27年以降は県北部を中心に、毎年、発生が確認されるようになり、平成30年は二戸市で発生程度が高い園地がみられた(図1)。
 そこで、近年の発生要因を明らかにすることにより、次年度の防除対策に資する。



2 近年の感染好適日
 平成27~30年は毎年、黒星病の感染好適日が開花期よりも極端に早く(開花1週間前頃)に出現しており、通常の開花直前散布だけでは防除しにくい年が続いている(図2)。そのため、年々、園地内の伝染源密度が高まっていると考えられる。



3 平成30年の早期発生
(1)巡回調査では、通常発生がみられない早期(6月前半)から果叢葉に発病がみられた(図3)。
(2)多発園地では、「王林」を中心に果叢葉の裏側に発病が認められた(図4、図5)。





4 平成30年の発生要因
(1)前年は8月の長雨により感染が助長されたため、本年の一次伝染源量が多かったと考えられる。
(2)一次感染は、開花5日前の4月25日の降雨が主たる感染時期であり、開花直前散布よりも感染時期が早く、防除が困難だった(図2、図6)。
(3)発病は落花期頃(5月13日頃)に起こったため、5月中旬の連続降雨により二次伝染した(図6)。



5 基本的な防除の考え方
(1)園地内の伝染源密度が年々高まっていると考えられるので、本年に発生がみられた園地では次年は本病の重点防除が必要である。
(2)前年の被害落葉からの子のう胞子による一次感染を防止する。この一次感染は、りんごの開花期前後の降雨日に起こるため、開花直前が最重点防除時期である。
(3)近年は、展葉期~開花期の多雨により、防除適期を逃していることが発生要因として考えられるので、この早期感染に対応した防除が必要である。

6 防除対策
○ 薬剤防除
(1)前年の発生園地では、開花直前のEBI剤として、本病に卓効を示すスコア顆粒水和剤を用いる。
(2)前年の多発園地(早期感染により果叢葉や幼果での発病が多い園地)では、開花7~10日前にEBI剤を特別散布する。また、開花直前はEBI混合剤(スコアMZ水和剤)を用いる。
(3)開花直前のEBI剤散布前に降雨があった場合、日数を空けないで散布する。
(4)散布量不足や散布ムラが発生要因となるので、薬剤散布は十分量散布する。
(5)EBI剤は耐性菌が発現する恐れがあるので、落花10日後以降は使用しない。
○ 耕種防除
(1)被害落葉は、一次伝染源となるので、芽出前に集め土中に埋没させるか焼却するなどして処分する。
(2)前年多発した樹(特に、若木)では、りん片越冬による感染を回避するため、側枝先端の頂芽を先刈りする。

7 参考文献
(1)仲谷房治(1991) 最近のリンゴ黒星病の多発要因と防除対策 (植物防疫 45:46-49 第2号)