平成22年1月
病害虫防除技術情報 No.21−2                      岩手県病害虫防除所

             きくに発生する半身萎ちょう病の診断

近年きく栽培で発生の増加している半身萎ちょう病について、普及センターで実施できる診断フローを示した。はじめ外観等による診断
を実施した後、素寒天培地による菌分離を行う。
培地での判定では、微小菌核の形成が確認されたら半身萎ちょう病と判断する。

1 背景
 近年、きく栽培において立枯性病害、特に半身萎ちょう病(図1)が増加している(表1)。半身萎ちょう病は、罹病した親株からの採穂に
より挿した穂を介して伝染することから、的確な診断を行い無病苗を確保することが重要である。本病の診断は外観だけでは困難である
ため、ここでは症状観察と素寒天培地を用いた菌分離に基づく半身萎ちょう病の診断方法について紹介し、防除指導に資することを目的とする。















 表1 半身萎ちょう病診断結果と発生確認市町村
半身萎ちょう病の症状 半身いちょう病診断結果と発生確認市町村
 図1 半身萎ちょう病の症状

2 半身萎ちょう病の診断方法
普及センターでは以下のフローに従って診断を行う。






診断フロー










鮭肉色の分生子塊(フザリウム立枯病)
 図2 鮭肉色の分生子塊(フザリウム立枯病)

3 素寒天培地を用いた検定法の詳細
 (1)サンプリング
下葉からの枯れ上がりが明らかな茎を採取する。
(2)サンプルの処理
ア 作業を行う前に、手及び実験台上を消毒用アルコール(70%)で拭き取り殺菌消毒する。また、室内の空調は止める。
イ 検定に供する茎は、症状が見られるできるだけ上位の部分を10cm程度切り出した後、よく水洗いして土を落とし、水分を十分
拭き取る。
ウ 切り出した茎の表面を消毒用アルコール(70%)で拭き取り表面殺菌する。
エ カミソリ等で茎の表皮をはぎ取る。
オ 剪定鋏等で適当な長さ(5mm程度)の切片に調製する。
カ 切片をピンセットで培地上に断面が接するように静置する。培地に置床する切片の数は3〜4個とし、できるだけ離して配置す
る(図3)。









培地への切片の置き方
 図3 培地への切片の置き方

※切片を培地に乗せる際は上ぶたを開け放しにしないよう、できるだけ素早く行い雑菌の混入を防ぐ。
キ 室温で2週間程度静置する。
(3)結果の判定
実体顕微鏡でシャーレを観察する。茎断面または培地中に黒色の微小菌核が確認されれば半身萎ちょう病であると判定す
る(図4、5)。











茎断面に形成された微小菌核 培地上に形成された微小菌核、分生子柄、分生子
 図4 茎断面に形成された微小菌核  図5 培地上に形成された微小菌核、分生子柄、分生子
※ 菌核だけでなく、分生子柄の形態も診断の指標となる

4 半身萎ちょう病防除対策
(1)耕種的防除
ア 保菌苗の持込みが重要な伝染源であるため、無病親株を確保する。
イ 発生歴のあるほ場では連作しない。発生ほ場では年々発生が増加するので、ほ場転換を行う。
ウ 罹病株はすき込まず、ほ場外に持ち出し処分する。
(2)薬剤防除
ア 土壌消毒を行う。発生ほ場における土壌消毒は、クロルピクリンくん蒸剤の効果が高い。

5 その他
 (1)普及センターが診断で使用する素寒天培地の配布については、中央農業改良普及センター県域グループが窓口となる。
(2)フローに従い診断を行った上で判断がつかない場合は、病害虫防除所へ診断依頼する。
〜ご注意〜
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をお勧めいたします。


20100225-kiku.pdf