病害虫防除技術情報 No.22-1 


岩手県におけるキンモンホソガの発生消長と羽化盛期予測

 岩手県(北上市)におけるキンモンホソガ越冬世代の羽化盛期は4月6半旬〜5月1半旬、
第1世代が6月3〜4半旬、第2世代が7月5半旬、第3世代が8月6〜9月1半旬である。
フェロモントラップによる越冬世代羽化盛期を起点とした第1世代羽化盛期予測は、展葉
日を起算とした場合よりフェロモントラップの第1世代羽化盛期との差は小さい。


1 背 景
   キンモンホソガの発生消長は昭和54〜57年の調査により各世代の成虫の発生ピークが求められ、
模式図として示されていた。当時は観察以外に発生消長を把握する術がなかったが、フェロモントラッ
プが市販されるようになり、今般解析に利用できるだけの十分なデータが蓄積されたことから、フェロ
モントラップを活用したキンモンホソガの発生消長の特徴を整理した。


2 岩手県におけるキンモンホソガの発生消長
    北上市の無防除ほ場においてフェロモントラップにおけるキンモンホソガの発生消長を調査した。
平成元年から平成21年まで21年間の誘引消長の平均は図1、図2のとおりである。越冬世代の羽化
盛期は4月6半旬〜5月1半旬、第1世代が6月3〜4半旬、第2世代が7月5半旬、第3世代が8月
6〜9月1半旬であり、これまでの知見と概ね一致した。また、越冬世代については平成2年、平成
11年、平成15年には誘引数が少なく、明確なピークを把握できなかった。
また、防除が実施されている現地ほ場ではフェロモントラップによる第2世代以降のピークは乱れる
ことが多い。










越冬世代の誘引消長
図1 越冬世代の誘引消長
(平成元〜21年、3半旬の平滑平均

 









キンモンホソガの誘引消長
図2 キンモンホソガの誘引消長(北上市)
(平成元〜21年、3半旬の平滑平均)

3 第1世代の羽化盛期予測
    昭和58年当時、フェロモントラップはなく、各世代の羽化盛期を把握することが困難であったことも
あり、これまでリンゴの展葉日を起点として、第1世代羽化盛期の発生予測が行われていた。今回、
フェロモントラップによる本県のキンモンホソガの発生消長をまとめるに当たり、(1)フェロモントラップ
を利用した場合に観察される越冬世代の羽化盛期とりんごの展葉日の差を明らかにした。また、(2)
フェロモントラップにより観察された越冬世代の発生時期を起算日とすることにより、より正確な第1世
代の羽化盛期予測が可能かどうかについて検討した。


(1)フェロモントラップを利用した場合に観察される越冬世代の羽化盛期とりんごの展葉日の差
北上の無防除ほ場において、フェロモントラップによる越冬世代羽化盛期は展葉日よりも概ね10
日以上遅れる。


 












表1 各年次毎の起点日の比較
各年次毎の起点日の比較
*1:展葉日は「ふじ」のデータ   *2:気温の数値は北上のアメダス地点における平年値との比較

(2)第1世代羽化盛期予測
フェロモントラップによる越冬世代羽化盛期を起点とした第1世代羽化盛期予測は、展葉日を起算と
した場合よりフェロモントラップの第1世代誘引消長との差は小さい。


 












表2 羽化盛期予測とフェロモントラップによる第1世代の誘引消長ピークの比較
羽化盛期予測とフェロモントラップによる第1世代の誘引消長ピークの比較
羽化盛期予測:キンモンホソガの発育零点を7.5℃、有効積算温量を400日℃として、日平均気温と発育零点の差を積算

4 発生予察への活用
    第1世代の羽化盛期の予測にあたっては、フェロモントラップにより越冬世代の発生消長を把握、これ
を起点とすることが望ましい。
(1)フェロモントラップの設置方法
越冬世代は地上から30cm、以降は目通りの高さに設置する。
(2)調査期間
越冬世代のピークを把握するためには半旬毎の調査が望ましい。7〜10日毎の調査でもおおまかな
消長は把握できるかが、気候変動    による発生時期のズレの把握や年次比較は困難になる。


詳細は以下のPDFファイルでご確認ください。
20110215-kinmon.pdf
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