病害虫防除技術情報No. 22-2 

ピーマンにおける天敵製剤を利用したアザミウマ防除法の現地実証

    スワルスキーカブリダニは放飼後すぐに高い寄生株率となり、アザミウマ類対象の殺虫剤散布を削減した場合でも、慣行防除並みに被害を抑えることができた。

1 目的
    近年、県内でも天敵製剤「スワルスキー(スワルスキーカブリダニ)」の導入がみられはじめていることから、天敵を導入している現地ほ場において、カブリダニの定着性とアザミウマ密度抑制効果、被害の発生状況について基礎的データを得るために、現地で調査を実施した。


2 実証内容
 (1)実証場所:奥州市江刺区夏秋ピーマン栽培ビニルハウス
(2)耕種概要:
実証区:品種 京鈴  定植日:4月6日(セル苗直接定植)
慣行区:品種 京鈴  定植日:4月9日(セル苗直接定植)
両区ともにハウス側面開口部に防虫テープを設置
(3)製剤と処理方法
製剤名:スワルスキー(スワルスキーカブリダニ 図1)
放飼日:5月18日
処理量:25,000頭(250mL)/10a
方法:全定植株の生長点部に振りかける









 
アザミウマ類幼虫を捕食するカブリダニ
図1 アザミウマ類幼虫を補食するカブリダニ













表1 カブリダニ放飼後の殺虫剤散布実績
カブリダニ放飼後の殺虫剤散布実績
1) スワルスキーとモスピランジェットについては10a当たりの使用量を記載
2) 太字がアザミウマ類を対象とした防除

 


3 実証結果
 (1)カブリダニ類及びアザミウマ類寄生密度調査
ア スワルスキーカブリダニは放飼後すぐに高い寄生株率となり、7月まではアザミウマ類寄生
密度抑制効果が認められた(図2、図3)。
イ 実証区の花蕾では、7月中旬にカブリダニ寄生数がピークとなり、アザミウマ類寄生数は
7月中旬および8月下旬以降に増加した。慣行区では、アザミウマ類寄生数は6月中旬
から7月中旬、9月に増加した(図3)。
ウ 発生がみられたアザミウマ類はミカンキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマだった(表2)。
(2)被害果の発生状況
ア 実証区では8月上、中旬、慣行区では6月中旬から7月下旬にかけて被害果率が高く
なったが、被害果率に大きな差はみられず、実証区では慣行区並に被害が抑制され
た(表3)。

 (3)実証区と慣行区での殺虫剤散布コスト比較
ア 殺虫剤の薬剤費と散布労賃を比較すると、実証区で高くなった(表4)。しかし、カブリダニ
による防除効果や殺虫剤散布回数減による省力化が見込まれ、農家の導入意欲は高
い。










カブリダニの寄生株率の推移
図2 カブリダニの寄生株率の推移
↓:カブリダニ放飼










表2 発生がみられたアザミウマの
種類と時期
発生がみられたアザミウマの種類と時期

 






花蕾に寄生するカブリダニとアザミウマ類の個体数の推移













表3 アザミウマ類被害果率の推移
アザミウマ類被害果率の推移
※被害果率は各区から出荷された総数に占める被害果数の割合













表4 殺虫剤と散布労賃の比較(10a当たり)
殺虫剤と散布労賃の比較
※散布労賃は670円/h(生産技術体系より)を用いて計算

4 留意事項
  ア  スワルスキーカブリダニはアザミウマ類の1齢幼虫を捕食する天敵であるため、ハウス周辺の
除草やハウス外からの飛び込み対策を必ず講じる。
イ  スワルスキーカブリダニの放飼はピーマンの開花後とし、アザミウマ類の寄生密度が低い状態
での放飼が望ましい。
ウ  スワルスキーカブリダニ放飼後1週間は、定着促進のため薬剤及び葉面散布を行わない。
エ  化学合成農薬を使用し防除を行う場合には、スワルスキーカブリダニに対して影響が無い、
または弱い剤を選択する。


詳細は以下のPDFファイルでご確認ください。
20110215-suwarusuki.pdf
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