病害虫防除技術情報 No.24-1

岩手県におけるオオタバコガの発生生態と防除開始時期の目安

岩手県(北上市)では、オオタバコガは2〜3世代経過し、指標作物(ミニトマト)への産卵消長は誘殺消長と概ね一致する。7月中旬から認められる産卵は、第1世代雄成虫の誘殺とほぼ同時に始まることから、防除はフェロモントラップへ第1世代雄成虫の誘殺が始まった時期から誘殺数が増加する時期に開始するのが効果的である。

1 背景
 オオタバコガは2010年以降、多くの作物で被害が確認され、薬剤による防除が実施されているが、岩手県での発生生態は不明であり防除に苦慮している。そこで、フェロモントラップ等による調査を実施し、発生生態を明らかにするとともに、あわせて誘殺と産卵の関係から防除開始時期を検討した。

2 フェロモントラップへのオオタバコガの誘殺消長と産卵消長(2011、2012年)
 岩手県(北上市)では飛来によると考えられるオオタバコガ雄成虫の誘殺は5月から認められ、誘殺盛期は7月下旬〜8月上旬、8月下旬〜9月上旬、9月中旬〜10月の3回認められた。また、指標作物(ミニトマト)への産卵消長は誘殺消長と概ね一致した(図1)。










図1 オオタバコガの誘殺消長と産卵消長(北上市)
図1 オオタバコガの誘殺消長と産卵消長(北上市)

 オオタバコガの世代経過(2012年)
 岩手県(北上市)において、オオタバコガの産卵が認められたのは7月第4半旬(7月19日)であった。その後は継続的に産卵が確認され、得られた卵を個別に屋外条件で飼育すると、8月第5半旬から羽化が確認された。なお9月第2半旬以降に産下された卵に起因する個体は羽化まで到らなかった(図2)。また、世代経過は発育零点11.2℃、有効積算温度434.5日℃(上和田ら1996年)を用いた発生時期予測と一致した。
侵入世代の誘殺時期から、7月第4半旬に産下された卵に起因する個体は第2世代であると考えられ、このことからオオタバコガは2〜3世代経過したと推察された。










図2 屋外飼育によるオオタバコガの世代経過(北上市)

図2 屋外飼育によるオオタバコガの世代経過(北上市)

※産卵消長調査用に植栽したミニトマトに産下された卵を採集し、個別飼育により発育経過を観察

4  オオタバコガの防除開始時期の目安(2011、2012年)
 指標作物(ミニトマト)への産卵は、7月中旬以降にフェロモントラップへの第1世代雄成虫の誘殺とほぼ同時に確認され始めた。また誘殺が増加した後に産卵数が、続いて幼虫数が増加した(図3)。
オオタバコガ幼虫は、ふ化後すぐに新芽や果実等を食害する性質があり、卵期間は20℃で4.3日、25℃で3.0日(小島:1996年)であることから、オオタバコガの若齢幼虫を対象とする防除は、フェロモントラップに第1世代雄成虫の誘殺が始まった時期から誘殺数が増加する時期に開始するのが効果的である。










図3 7〜8月のオオタバコガ誘殺数と卵数、幼虫数の推移(北上市)

図3 7〜8月のオオタバコガ誘殺数と卵数、幼虫数の推移(北上市)

※卵数と幼虫数は株当たりの数値

5 発生予察への活用と注意点
?フェロモントラップは、1.0〜1.5m程度の高さに設置し、通風の悪い場所は避ける。
?オオタバコガは長距離移動することが知られており、断続的に飛来していると考えられるので、強風や台風接近前後には誘殺数の急激な変化に注意する。
?有効積算温度による発生時期予測を行うためには、日別平均気温データが必要である。
?指標作物(ミニトマト)を設置することで、フェロモントラップへの誘殺が少ない場合でも、卵によりオオタバコガの発生を確認することができる。産卵は植物体の先端部に多いため、観察は先端部を中心に行う(図4)。










図4 オオタバコガによる指標作物
(ミニトマト)の先端部付近への産卵(左:花梗部、中:葉表、右:葉裏)

詳細は以下のPDFファイルでご確認ください。
20130221-otabakoga.pdf
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