病害虫防除技術情報No. 28-1                              

平成28年度 病害虫防除技術情報(ピーマンの抵抗性(L3)品種にモザイク症状を呈するPMMoVの発生と対策)

1 本県におけるPMMoV L3打破系統の発生状況
(1)PMMoV抵抗性(L3)品種の導入状況
平成15年以前まで、県内のハウスピーマン(L2品種:「京ゆたか」等)では、トウガラシマイルドモットルウイルス(PMMoV) 病原型P1,2によるモザイク病が広く発生していた。平成15年以降、抵抗性(L3)品種が広く導入され、本病は見られなくなっていた。
(2)L3打破系統の症状と発生状況
?えそ症状
・平成16、17年に、L3品種にえそ症状(写真1)を呈する病原型(P1,2,3型)が確認されたが、発病株を直ちに抜き取ったため、圃場内への蔓延を防止できた。(平成16年度防除技術情報 No.16-3)
?モザイク症状
・平成28年5〜6月、県内の2市3圃場において、ピーマンのL3品種を侵すPMMoV(L3打破系統)(以下、「L3打破系統」という)が発生した。この症状は、上記のえそ症状とは異なり、生長点付近の葉や果実にモザイク症状(写真2、3)を呈する。
・上記圃場で発生したL3打破系統の病原型は、接種試験及び遺伝子診断の結果から、P1,2,3型とP1,2,3,4の2種類であることが判明した。
※P1,2,3型:L3品種(京鈴、京ひかり、さらら、みおぎ、京まつり等)を侵すことができる。
P1,2,3,4型:L4品種(L4京鈴等)を侵すことができる。なお、L4品種は、ピーマンでは
本県未導入であるが、パプリカでは導入されている。



写真1 えそ症状 
写真2 葉のモザイク症状 写真3 果実のモザイク症状
写真1 えそ症状       写真2 葉のモザイク症状     写真3 果実のモザイク症状

2 L3打破系統の発生生態と防除対策
(1)発生生態
?一次伝染:土壌中に残存した前年の罹病残渣と定植苗の根が接触することで感染する(土壌伝染)。
?二次伝染:管理作業によって生じる汁液によって、罹病株から健全株に伝染する(汁液伝染)。
(2)発生要因
県内で複数の病原型(P1,2,3,4型、P1,2,3型)が発生した要因は、過去に県内のピーマンL2品種に発生したP1,2型PMMoVが、L3品種の導入により淘汰された後、圃場内にわずかに残存した変異ウイルス(P1,2,3,4型、P1,2,3型)がそれぞれ優占してきたものと考えられている。
(3)発生防止対策
土壌中の伝染源(前年の罹病残渣)の密度低減と、汁液伝染を防ぐことを主眼として、L3品種の栽培圃場では、以下の対策を講じる。
・栽培終了後は、できるだけ根を残さないように抜き取り、圃場外へ持ち出し処分する。
・定植後から摘心作業が始まる前までに、モザイク症状やえそ症状が見られないか、圃場全体を確認する。
・モザイク症状やえそ症状が確認された場合、指導機関(農業改良普及センター、病害虫防除所)に連絡し、診断を受ける。
(4)発生時の対策
L3打破系統の発生が確認された場合には、以下の対策を講じる。
・発病株は、土壌中へ根を残さないように抜き取り、圃場外へ持ち出し処分する。
・発病株を抜き取った後への補植は、再発の可能性があるため、行わない。
・発生圃場の管理作業(耕起、整枝、収穫等)は、他の圃場と別にし、最後に行う。
・発生圃場および周辺圃場に、同様の症状が見られていないかを継続して監視する。


3 留意事項
(1)PMMoV抵抗性(L3)品種と感受性(L2)品種は、同一圃場で栽培(混植)しない。また、両品種を栽培している圃場では、品種ごとにハサミを使い分ける等、管理作業は品種ごとに分けて行う。
(2)P1,2,3,4型PMMoVが発生した圃場では、L3品種より上位の抵抗性品種(L4品種)の導入による対応はできないことから、早期発見に努め、蔓延を防止する。


fig

詳細は、以下のPDFファイルでご確認ください。
20161101-gijutsu_ppmov2.pdf
−ご注意−
ダウンロードPDFファイルは全てウイルスチェックを行っていますが、万一のためにダウンロード後再度ウイルスチェックをすることをおすすめします。