施設トマトに発生した黄化えそ病の発生事例と診断のポイント

病害虫防除技術情報No. 28-3



①伝染経路:発生源はTSWVに感染した栄養繁殖系、多年生の花きであり、育苗中や生育中にミカンキイロアザミウマを介して感染する。
②防除対策:発生源対策と媒介虫対策を併せて行う。
③診断のポイント:株全体、葉、果実に着目して病徴に基づき診断するとともに、必要に応じてイムノクロマトキットを用いた検定を実施する。


1 背景
 トマト黄化えそウイルス(TSWV)は多犯性の植物ウイルスであり、ミカンキイロアザミウマが媒介し、各種作物の葉に退緑、輪紋、えそ等の症状を示すことが知られている。本県では、平成9〜10年にかけてピーマン、キク、トルコギキョウにおいて発生が確認され、以降はほとんど発生が見られなかった。
平成28年に、県内複数のトマト生産農家において、TSWVによる黄化えそ病が発生したことから、その発生事例に基づき、発生源と伝染経路を取りまとめた。また、トマトでは多様な症状が確認されたことから、病徴に基づく診断のポイントを整理した。


2 TSWVの伝染経路と防除指導の事例
【事例Ⅰ】育苗期感染
①伝染経路
・育苗ハウス内では、TSWVに感染した多年生花き類と共に育苗したことにより、ミカンキイロアザミウマを介してトマト苗に感染。
・本圃では、感染苗を定植したことにより、圃場内全面に発生。
②防除指導
・発生源対策:育苗ハウス内では多年生花き類と共に育苗しない。
【事例Ⅱ】生育期感染
①伝染経路
・隣接ハウス内に放置したTSWV感染小ぎく親株において、TSWV保毒虫が発生。
・上記ハウスからトマト定植圃内に保毒虫が侵入し、ハウスサイドの株に局所的に発生。
②防除指導
・発生源対策:感染株の除去。
・媒介虫対策:防虫ネット、防虫テープの設置によるアザミウマ類の侵入防止、薬剤防除。


事例

3 トマト黄化えそ病の診断のポイント
本病は、品種や生育ステージ、感染時期によって病徴(発生部位や症状)が異なるので、診断にあたっては、以下に示す病徴を参考にするとともに、必要に応じてウイルス検定を実施して確認する。
(1)病徴からの診断
①株全体の症状
・生育の抑制。
②葉の症状
<頂葉>
・頂葉の黄化(くすんで汚い。生気がない。)(写真1)や、葉先や葉縁部の枯れこみが見られる。
<上、中位葉>
・えそ褐点が葉脈に沿って発生し(写真2)、症状が進むと、網目状、または全面に発生する(写真3)。
<中位葉>
・輪紋状の黄化(写真4)とえそ症状(写真5)。
・葉脈の透化(写真6)。
<下位葉>症状が見られないことが多い。
③果実の症状
・着色が不良となる(写真7)。
・幼果にえそ症状が見られることがある(写真8)。
(2)ウイルス検定による診断
・イムノクロマトキットにより検定する。
・検定にあたっては、上記病徴のある葉を用いる。病徴のないところからはウイルスは検出されない。


写真1写真2〜8

4 TSWVの防除対策
本病の発生源は栄養繁殖系や多年生の花きであるため、県農作物病害虫・雑草防除指針の「花きの重要病害虫防除対策(TSWVとINSVの防除対策)」を参考に、発生源および媒介虫対策を講じる。
(1)発生源対策
①育苗施設内では、他の栄養繁殖作物や前作物の残渣(特に残花)を取り置きしない。
②発病株は圃場内から持ち出し処分する。
(2)媒介虫対策
①ミカンキイロアザミウマは5〜6月に発生するので、防虫ネットや防虫テープの設置により侵入を防止する。
②薬剤散布によりミカンキイロアザミウマを防除する。



詳細は、以下のPDFファイルでご確認ください。


施設トマトに発生した黄化えそ病の発生事例と診断のポイント


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