◆ 6月1日~6月20日の気象経過:高気圧に覆われる日が多かったことから、降水量は少なく、日照時間は平年より多くなり、平均気温は平年を3℃前後上回りました。
◆ 6月24日現在の生育状況(生育診断予察圃):県全体の生育は、草丈が40.9cm(平年差+4.2cm)でほぼ平年並み、茎数は482本/㎡(平年比116%)と平年を上回り、葉色値も41.4(平年差+2.2)とやや高くなっています。葉数は平年より0.2葉進んでいます。
◆ 多くのほ場では既に中干しの適期を迎えています。速やかに中干しを行いましょう。
◆ 向こう1ヶ月は暖かい空気に覆われる見込みで、気温は高い予報となっています。今後の気象予報や生育ステージの動向をみながら、計画的な水管理に努めるとともに、いもち病・紋枯病、カメムシ類の発生動向に関する情報にも注意しましょう。

1 生育概況
6月24日に各農業改良普及センターが実施した水稲生育診断予察圃の一斉調査によると、県全体の平均では、草丈が40.7㎝(平年差+4.2cm)、茎数は480本/㎡(平年比114%)と平年を上回り、葉色値も41.4(平年差+2.3)と、やや高くなっています。葉数は8.3(平年+0.1)でほぼ平年並みです。



 

2 6月下旬からの水管理
(1)気象予報
1か月予報(令和2年6月18日発表,仙台管区気象台)によると、向こう1か月の降水量はほぼ平年並であり、日照時間は平年並か多く、また、気温は1週目と2週目が平年並か高く、3週目以降は高い見込みです。
(2)中干し(幼穂形成期より前の時期:6月下旬~7月上旬)
・ 目標となる茎数(坪60株の場合概ね20~30本/株)に達したら、速やかに中干しを行いましょう。落水は7~10日程度とし、田面に小さな亀裂が生じ、軽く踏んで足跡がつくまでとします(図1)。
・ 期間中、落水を促し中干しの効果を高めるため、溝切りをおこないます(図2)。
・ 中干し直後は間断かんがいを基本とし、その後、前歴深水かんがいに備えて湛水に移行します。
(水不足による水利調整等により、直ちに水入れできない場合も、水尻は閉じておきます)



(3)幼穂形成期~減数分裂期の水管理
特に低温時には、大量の用水を必要とするので、計画的な水位管理を心掛けます。
 前歴深水かんがい〔幼穂形成期(出穂23日前)前後〕
・前歴深水かんがいは、低温から幼穂を保護して障害不稔を軽減できる技術です。
・幼穂形成期(図3)の数日前から徐々に水位を高め、幼穂形成期には4~6cmの深水にします。
 深水かんがい〔減数分裂期(出穂約11日前)前後〕
・減数分裂期(図4)に低温が予想される場合は、水深10㎝以上を確保します。
・17℃以下の強い低温が見込まれる場合は、水深15㎝以上とし、幼穂の保温に努めてください。
・なお、平年並~高めの気温が予想されるときは間断かんがいとします。



3 追肥
今後の追肥判断のためにも、葉色の変化に注意が必要です。良食味米生産の観点から、品種、気象・生育状況を見極めて、適期に適量を施用してください。
詳しくは各地域で発行される技術情報等を参考にしてください。

4 いもち病対策
(1)葉いもち防除
いもち病は、気象条件により急激に広まるので、圃場の観察と早期防除を徹底してください。
圃場をよく観察し、発生を確認したら、葉いもち予防粒剤(箱施用剤、水面・投げ込み施用剤)施用の有無にかかわらず、茎葉散布を実施します。
(2)穂いもち予防粒剤を散布する場合の留意点
 生育ステージをよく確認し、ラベル記載の散布時期を逸しないよう注意します。(生育ステージ…幼穂形成期:出穂23日前、減数分裂期:出穂11日前)
イ 圃場をよく見回り、葉いもちが発生している場合は茎葉散布してから粒剤施用します。

5 紋枯病対策
・紋枯病の発生がやや多の予報です※。
・茎葉散布による防除は、穂ばらみ末期(7月末~8月上旬)に、畦畔際の発病株の割合(発病株率)が、早生品種で15%以上、晩生品種20%以上の場合におこないます。
・前年発生が多かった圃場では、予防粒剤による防除を実施します。
 
6 斑点米カメムシ類の防除対策
(1)防除のポイント
・斑点米カメムシ類(第1世代)の発生がやや早く、発生量もやや多の予報です※。
・斑点米カメムシ類の増殖源となる畦畔、牧草地、雑草地、農道などでは、イネ科植物が出穂しないよう管理を徹底してください。
・なお、養蜂活動が行われている地域で殺虫剤を散布する計画がある場合は、養蜂家と協議の上、散布時期を事前に通知するなど、ミツバチへの危害防止に努めてください。
(2)耕種的な防除対策
 斑点米カメムシ類は、畦畔や転作牧草等のイネ科植物が発生源となるため、水稲出穂の15~10日前までに地域一斉に草刈りを実施します。
 水田内の雑草も斑点米カメムシ類の増殖源となります。ノビエ・ホタルイ類・シズイが多発している圃場は、中・後期除草剤の使用等により、増殖源となる雑草の除去に努めてください。



 

7 直播栽培の本田管理
(1)生育中期の水管理のポイント(図10)
・現在、県内の直播栽培の多くは鉄コーティング湛水直播方式ですが、本方式は茎数過剰となりやすく、また倒伏しやすい弱点があります。
・本年は苗立ち期間(5月中旬~6月上旬)の寒暖差が大きく、低温による出芽遅延やその後の高温による土壌還元害(苗立ち不良)がみられましたが、苗立ち後は概ね順調に生育しています。ほ場をよく確認し、目標となる茎数(坪60株の場合概ね20~30本/株)に達したら、直ちに「中干し」をおこないます。
・また、倒伏に弱い品種(ひとめぼれ・あきたこまち等)で、穂ばらみ期に低温の恐れが無い場合は、「穂ばらみ期落水」で田面土壌硬度を高め、倒伏を軽減する対策(図11)も検討します。



(2)病害虫防除
ア いもち病防除
(ア)葉いもち
コーティング時、または播種同時に殺菌剤を使用した場合であっても、7月20日頃(初発が早い場合や多発年は7月15日頃)から本田を巡回し、発生が無いか確認をします。特に「ひとめぼれ」などの晩生品種では穂いもち予防剤の散布適期前に発生する場合があるので注意が必要です。発生時は、移植栽培の防除体系に準じて速やかに茎葉散布を実施してください。
(イ)穂いもち
予防粒剤の水面施用(出穂20~10日前頃)または出穂直前と穂揃い期の2回の茎葉散布を基本とします。
イ イチモンジセセリ(イネツトムシ)
飛来性の害虫で、例年の発生は少ないですが、生育後半に葉色が濃い場合や、出穂が遅いほ場では大きな被害を受ける場合があります(図12)。こまめに観察し被害に備えます。
ウ 斑点米カメムシ類
移植栽培と同様に防除します。

(3)追肥
・耐倒伏性が弱い「ひとめぼれ」「あきたこまち」「いわてっこ」等では窒素成分量は移植栽培の基準よりやや控えめとし、様子を見ながら加減します。
・なお、明らかに生育過剰と判断される場合や、中干しが十分できなかった場合は、「穂ばらみ期落水」又は倒伏軽減剤の使用も検討します。





 

印刷はこちらから→suito04(PDF2.27MB)