大型の台風第19号により農作物に対する被害が各地で確認されています。
圃場や畑の見回りを行う場合は、地盤がゆるんでいることなども考えられますので、足下など、周辺の安全に十分に注意し、転落、滑落事故に遭わないよう慎重に行動してください。

水稲


(1)浸水・冠水した場合は、速やかな排水に努めてください。
長時間の冠水は玄米品質の低下につながります。また、倒伏した圃場では穂発芽をさけるため、特に排水に留意してください。

(2)倒伏した場合は、収穫時に刈分けを行い、土砂が付着した籾や穂発芽粒、青未熟粒の混入を防止します。

(3)河川水が流入した圃場では、流木やゴミ類が圃場内に残っている場合があります。
機械作業中にこれらが噛み込むと故障や事故の原因となるため、水がひいた後は圃場を点検し、ゴミ類がある場合は取り除いてください。

(4)穂に土砂等が付着している場合、収穫・調製機械に負荷がかかるほか、玄米の汚損による品質低下につながる恐れがあります。特に、冠水した圃場の収穫物を取扱う場合は、作業機のこまめな清掃に努めます。

畑作物


大豆
(1)圃場にたまった水は直ちに排水し、長時間滞水しないように努めます。倒伏した株は莢が地面に接しないよう、早期に引き上げて乾燥を促します。

(2)泥水により冠水、倒伏した場合の被害は以下のように考えられます。
・ 泥水による冠水: 短い時間であれば一定の整粒が確保できるが、莢に泥が付着することから、汚損粒が増加。
・ 泥流により冠水し倒伏: 水で膨張し、腐敗粒が多発。

(3)収穫が可能な圃場は刈遅れとならないよう収穫します。また、収穫の判断が難しい場合は、普及センターに相談し、関係機関と検討します。

小麦
(1)圃場が冠水・浸水した場合は、湿害を被り、除草剤の効果が不安定になることが考えられます。今後の管理が難しい場合は、再度播種し直すか、小麦の作付けを中止して他の作目へ転換することを考えます。

(2)播種作業は無理をせず、播種量を1割程度増やして、圃場が乾いてから行います。

野菜


(1)排水対策等
圃場にたまった水はただちに排水し、長時間滞水しないように努めます。排水後、圃場作業が可能になったら畦間の中耕を行って土壌中に空気を送り、根の活性化に努めます。

(2)殺菌剤散布・葉面散布
台風通過後は、冠水や多湿、茎葉の損傷等により病気にかかりやすくなっていますので、品目ごとの農薬の使用基準に従って殺菌剤を散布し、病害の発生を未然に防止します。
茎葉に泥土が付着している場合は、動力噴霧機により水をかけて洗い流した後、殺菌剤を散布します。
強風等で傷んだ茎葉や果実を摘除するとともに、必要に応じて液肥を薄い倍率で施用または葉面散布し、草勢回復を促進します。

花き


(1)株の立て起こし、支柱・ネットの修復
強風によって株が倒伏・傾倒した場合は、時間が経過するほど茎の曲がりが戻りにくくなるので、風が弱まったら直ちに株を立て起こします。併せて、支柱・ネットを修復します。

(2)圃場の排水
圃場が冠水した場合は、溝切り等により速やかに圃場外へ排出します。

(3)病害対策
風による茎葉の折損や泥の跳ね上がりによって病害の発生が助長されるので、殺菌剤を散布します。この際、株に付着した泥を洗い落とすために、動噴の圧力を高めにして十分量を散布します。併せて、施設栽培では換気を徹底し、施設内の湿度の低下を図ります。

(4)被害株及び茎葉の除去
出荷不能となった株や折損した茎葉は、圃場外に持ち出して処分します。

果樹


(1)排水対策
園地、園道に滞水がある場合には、裂果や根部の障害による樹勢衰弱の要因となりますので、園地内に水が停滞しないよう、溝を掘るなど排水対策を実施します。

(2)落果の処理
落下した果実は速やかに収集し、JA等出荷団体や農業共済組合と協議のうえ、散布した農薬の使用基準(収穫前日数等)に注意しながら、それぞれの用途に応じて、適切に処理します。

(3)倒木の処理
斜めに傾いたり、横になった樹体の立て直しは、できるだけ早く行います。ただし、そのまま不用意に引き起こすと、残っていた根も切ることがあるので、露出した根が収まる程度の穴を掘り、倒れた側からスコップで少し掘り下げるなど、注意深く戻します。また、すぐに起せない場合は、露出した根に土をかけるなどして乾かないようにします。

(4)病害予防
園地が冠水した場合や、強風で枝葉や幹に損傷が生じている場合には、果実腐敗性の病害やふらん病などの樹体病害感染の恐れがあります。このような場合は、速やかに特別散布で殺菌剤を全面散布し、病害の感染を予防します。なお、その際は、殺菌剤の使用基準(使用回数、収穫前日数)を確認のうえ使用してください。また、側枝や大きい結果母枝が折れた場合には、傷口をなめらかに切り、塗布剤を塗布します。

畜産


(1)飼料作物を作付している圃場で、滞水している場合は速やかに排水するよう努めます。収穫時には、圃場に飛来物が混入しないよう注意します。

(2)倒伏したとうもろこしの収穫を牽引式ハーベスタで実施する場合の収穫方法は、
①畦と直角方向に倒れているときは、トラクタで茎葉を踏まないよう走行する方向を選択します。
②畦と水平に倒れているときは、雄穂方向から収穫する向かい刈りを行います。
作業機の作業速度は控えめとし、高刈りとするなど収穫時の土壌などの混入を避けます。
また、通常よりハーベスタに詰まり易く、切断長も粗くなりやすいことから、作業中も適宜確認し調整を行いながら、詰込み密度を確保するために十分な踏圧と早期密封に努め、発酵品質の低下を防ぎます。
土壌が付着した材料は、酪酸発酵により発酵品質の低下やそれに伴うサイレージの嗜好性の低下等を招きやすいため、酪酸発酵防止用のギ酸系サイレージ添加剤の利用を検討します。

(3)畜舎内への浸水や雨漏りがあった場合、高温多湿となり不衛生になりますので、台風通過後は畜舎やその周辺の排水を徹底し、敷料交換、排せつ物の除去、空気の入れ替え等により乾燥を図り、消毒を実施します。

 

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