◆飼料用とうもろこしの栽培では、品種選定と基本技術を再確認します。適切な栽植密度で収量確保を狙いましょう。
◆飼料用とうもろこしは初期生育が重要です。適切な播種床の形成、雑草・害虫の防除を確実に行いましょう。


1 とうもろこし栽培のポイント
とうもろこしは、エネルギーの高い子実と、消化性の比較的高い繊維を含む茎葉から構成され、飼料価値に優れ、家畜の嗜好性も良好な、単位面積あたりの栄養収量が高い粗飼料です。下記の栽培基本技術に基づき単位収量の向上に努めましょう。

(1)品種の選定
収穫時期に確実に黄熟期に達する品種を選択し、収穫時期の作業分散と、気象変動の危険分散を考慮し、早晩性の異なる数品種を栽培します。また、昨年の作柄を考慮して、耐病性や耐倒伏性の高い品種に変更することも考えます。
 
(2)適切な施肥
飼料用とうもろこしの施肥は窒素15㎏/10a、リン酸12㎏/10a、カリ10㎏/10aを基本とします。窒素を追肥する場合は、基肥8~10㎏/10aと追肥を合わせて年間必要量になるようにします。
堆厩肥は10a当たり3t、炭カルは200kgを標準とし、投入量に応じて化成肥料を加減します。
生の堆肥はタネバエを呼び、発芽不良の原因となるので、播種1ヶ月前に施用し土中で分解を図ります。糞尿の多量還元は、植物体中の硝酸態窒素含量を高め、硝酸塩中毒を引き起こす他、ミネラルバランスが崩れ、家畜の栄養上も問題となるので、窒素とカリが過剰にならないよう注意します。土壌分析や飼料分析を実施している場合はその分析値に応じて施肥量を増減させることができますが、堆厩肥が入っているからといって、過度に減肥をすると、初期生育の不良や生育期後半の肥料切れを起こすことがありますので、堆厩肥は化学肥料と合わせて、とうもろこしの年間必要量に対して過不足が無いように注意してください。

(3)適切な播種床の形成
播種床の仕上がりは、発芽の早さ、斉一性、除草剤の効果に影響します。砕土は、大きさ20㎜以上の土塊が全体の3割以下になるように行ってください。砕土が荒すぎると、地中の水分が種子まで運ばれず、発芽に影響が出ます。降雨時には、表層のクラスト化や大きな土塊が出来やすくなるため、砕土作業は避けましょう。

(4)適切な播種作業
とうもろこしは湿害に弱いので、排水の良い畑を準備します。栽植本数は、表1の畦間、株間と栽植本数を参考にして下さい。
極早生品種で8,000本、早生品種で7,000本、中生品種で6,500本、晩生品種で6,000本を標準とします。密植しすぎると雌穂が小さくなりTDN含量が低下するだけでなく、茎が細くなり倒伏にも弱くなります
播種は霜が降りない時期で、平均気温が10℃になる頃(5月中~下旬)に行います。
鳥害防止のため播種時にキヒゲン(チウラム剤)を粉衣します。
火山性土壌では、発芽の安定には鎮圧を行うことが重要です。また、鎮圧することにより、除草剤の効果が安定します。

(5)適正栽植密度に近づけるための一方策
とうもろこし栽培では、平常時でも播種精度や鳥害、虫害により欠株が生じます(表2)。
栽植本数の確保は収量確保の基本です。播種量は欠株を考慮して、やや(10%程度)多めにします(表3)。
最適栽植本数を確保するために、播種量について、再確認を行ってください。



(6)雑草防除
圃場に発生する雑草の種類と発生程度によって、適切な除草剤を選択し、散布時期、散布量、使用回数を守り防除に努めます。同じ除草剤を使用し続けていると、その除草剤が効きづらい雑草が残りやすくなりますので、JAや普及センターに相談のうえ、一部の圃場で別の除草剤を試して効果を確かめます。
また、砕土(播種床形成)から土壌処理(除草剤)まで期間を空けすぎると雑草が芽吹いてきます。
さらに、除草剤をしっかりと効かせるために砕土、鎮圧を念入りに実施します。
 
(7)害虫防除
早期発見が最も重要であり、発生の予想される時期に圃場をよく観察します(前年発生した圃場は特に注意します)。アカザ・タデ類などの幼植物はタマナヤガ(ネキリムシ)の産卵を誘発し、発生源となるので、播種後から生育初期にかけて雑草防除を徹底します。
前年に被害があった圃場は下記の薬剤を参考に対策をとってください。



(8)病害対策
飼料用とうもろこしの病害のうち、県内で発生が多く、収量に影響すると考えられる病害は、すす紋病、根腐れ病、赤かび病です。
すす紋病は株の葉から枯れていく病気です。前年度の収穫残さから胞子が舞い上がり、下位葉に感染し発生が広がります。夏以降に肥料切れを起こすと発生しやすくなります。多発すると収量が減収するので、注意が必要です。対策は、抵抗性品種の選定、肥料切れの防止(地力を高める)、前作の確実なすき込みです。
根腐れ病は、収穫時期に茎の根元が腐って黄熟期を過ぎると一気に枯れ上がり、植物体全体が黄色くなる病気です。稈の内部は空洞化し、軟化するため雌穂が垂れ下がるのが特徴の一つです。前作の残さや雑草から感染が広がります。気温が高く、降雨量が多い年は注意が必要です。対策は、排水対策、雑草防除、抵抗性品種の選定、前作の確実なすき込み、地力の向上です。
赤かび病は、雌穂にピンクがかった白色のカビを生じて腐る病気です。前作物の残さから赤かび病菌が増殖し感染が広がると言われています。赤かび病菌から作られるかび毒は家畜に有害なので、粗飼料の安全性の面からも赤かび病が発生しないようにすることが重要です。対策としては、品種の選定(子実の露出が少ないもの、倒伏しないもの)、前作の残さの確実なすき込み、適正な栽植本数の確保です。



 

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