◆牧 草    一番草の収穫・調製のタイミングは、飼料の栄養成分、収量に大きく影響します。
◆生育ステージを観察し、適期収穫を行いましょう。
◆飼料用とうもろこし 雑草防除のため土壌処理、生育期処理を確実に行い、収量確保・サイージの品質向上を目指しましょう。
◆家 畜  暑熱対策は本格的に暑くなる前に行いましょう。

牧草


1 生育状況
気温が低く、日照不足のため、牧草の生育はやや遅れています。

2 収穫
(1)1番草の収穫適期
図はオーチャードグラスの1番草の収量と栄養価の推移を示したものです。
生育が進むにつれ収量は増加しますが、消化率、可消化養分総量(TDN)、蛋白質含量(CP)は減少します。
収量と栄養価のバランスを考慮して、『出穂始めから出穂期』に収穫を行いましょう。目安は1m四方で出穂本数が2~3本(出穂始め)から40~50%(出穂期)です。
(2)刈取り高さ
牧草の刈取り高さは、2番草以降の再生力と収量を決定する重要な要因です。
低刈りは再生力が悪くなり、高刈りは収量減少につながります。地際から10cm以上(大体握りこぶし1個分の高さを目安)に刈取りを行います。
(3)サイレージ調製
原料草の予乾が不十分だと、養分の流出や不良発酵の原因になります。調製方法ごとの目安として、ロールベールサイレージで水分50~60%、タワーサイロやバンカーサイロ等で水分65~70%となるよう、予乾を行います。
土壌の混入は不良発酵の原因となりますので、トラクターのスピードを落とし、圃場の凹凸に注意しながら作業してください。
ロールベールサイレージに調製する場合、ロール成形後密封までに時間が大幅に経過すると、品質低下につながります。ロール成形後は必ず当日中に密封作業を行ってください。
(4)乾草調製
良質な乾草を調製するためには、水分を20%以下に落とすことが大切です。水分がそれより高いと、カビの発生による品質の低下だけでなく、発熱、自然発火にもつながります。晴天が続かない場合には、無理に乾草調製をねらわず、サイレージ調製に切り替える等、臨機応変に対応してください。

3 オーチャードグラスとチモシーの特性
(1)オーチャードグラスは基本的に年3回刈取ります。利用回数が少なく、刈取り間隔が長くなると消失する個体が増えたり、株化が促進され裸地が多くなります。刈取り間隔は40~50日が目安です。
(2)チモシーは1番草時に早刈りすると再生が悪くなります。これは1番草の出穂茎が生育しないと2番草となる新しい分げつが生長しない特性によるためです。刈取り時期はオーチャードグラスよりも遅い出穂期以降とします。また、再生スピードが遅いので刈取り間隔は50~60日を目安とします。

4 収穫後の追肥
2番草の生育を促進するため、刈取り後に追肥を行います。施肥量の目安は、10a当たり成分量で窒素5kg、リン酸2.5kg、カリ5kgです。
オーチャードグラスは刈取り後すぐに再生が始まるので、刈取り後すみやかに追肥をおこない、再生を促進させます。一方、チモシーの場合は再生速度がオーチャードグラスよりも緩やかなので、1番草刈取り後7~10日後を目安に追肥をします。
チモシーはオーチャードグラスと異なり、1番草刈り取り後に新しい分げつが発生し、それが翌年の1番草まで維持され収量に影響しますので、1番草刈り取り後に施肥し、新しい分げつ発生を促進する必要があります。

飼料用とうもろこし


1 生育状況
5月上中旬の日平均気温は、平年並に推移しており、飼料用とうもろこしの播種が各地域で進んでいます。播種の盛期は5月中旬となる予想です。

2 雑草防除
雑草の繁茂を防ぐには、早期の発見と防除が不可欠ですので、播種後はこまめに圃場を観察します。土壌処理でうまく除草が出来なかった場合は生育期処理が必要です。雑草の種類によって、効果が期待できる除草剤が異なるので、適切な除草剤を選択してください。除草剤によって使用方法(時期、回数、留意事項等)が異なるので必ず確認してください。

3 虫害の特徴と対策
飼料用とうもろこしは、圃場の観察不足からトラブル発見が遅れやすい作物です。虫害は欠株を招き被害に比例して減収が大きくなりますので、早期発見に努め被害の拡大を防ぎます。
(1)ハリガネムシ
針金状の細い幼虫が種子や幼苗に侵入して食害し、不発芽や幼苗の枯死を招きます。被害株の周辺土中に幼虫を確認できます。牧草地からの転換初年目は大きな被害が出やすくなるので、特に注意します。
播種後に被害が確認された場合は、その程度に応じて早生品種等の追播を検討します。播種がこれからの場合は、種子に防除薬剤を塗布します。
(2)ネキリムシ
6~7月頃、幼虫が幼苗の地際部を切断して食害し、株を移動し被害を拡大します。被害株の周辺土中に幼虫を確認できます。
成虫は雑草(アカザ類、タデ類)を好んで産卵するため圃場内外の除草を徹底するとともに、被害が確認されたら、その程度を見計らい防除剤をすみやかに散布します。

家畜


1 暑熱対策
近年、猛暑が長く続く傾向にあり、受胎率の低下など乳牛の生産性への影響がみられます。猛暑の影響を緩和するためにも、十分な暑熱対策をとれるよう、今から準備をしておきます。
THIは乳牛における乾物摂取量や乳量に影響を与える指標として利用されています。THI=0.8✕気温+0.01相対湿度✕(気温-14.4)+46.4で算出されます。そして暑熱ストレスは強さのみならず長さの影響もうけることが知られています。
令和元年の盛岡市でのTHIを計算したところ、軽度のストレスがかかるとされるTHI65以上は5月中旬から、強いストレスとされるTHI72以上は7月中旬から、非常に強いストレスとされるTHI82以上は8月の上旬に観測されました。
このことにより、暑熱対策は準備を含めて、4月下旬から取り組む必要があります。放熱温度計などで牛舎環境の温度を測定して(右図)、牛舎環境の現状把握を行い、環境に沿った対策を検討してください。有効対策例は下記のとおりです。

(1)輻射熱の遮断や遮光
屋根に当たった日光による輻射熱で牛舎内の温度が上昇します。遮熱塗料やドロマイト石灰などを屋根に塗布することで、輻射熱を低減させられます。また、寒冷紗等で西日を遮ることも有効です。(1時間の西日は体温を10℃上昇するだけのエネルギーがあります)

(2)送風
牛舎内に気流を作ることで、牛の体感温度を下げることができます。換気扇を設置していない場合や台数が不足している場合は、新たな設置を検討します。牛舎の構造や飼養状態によりリレー換気、トンネル換気、ダクト換気等、適した換気方法を選んでください。
また、すでに換気扇を設置済みの場合、ホコリやクモの巣があると換気効率が落ちるだけでなく、電気代の増加にもつながります。今のうちから掃除をして、すぐに使えるよう、準備をします。
(3)給水施設の整備
暑熱対策として、飲水量を確保することも大切です。十分な飲水量を確保するため、配管を太くすることや、ウォーターカップを改修することも検討してください。また、水槽のこまめな清掃も飲水量確保に有効です。




印刷はこちらから→chikusan03(PDF553KB)